Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は、モスクワで行った演説の中で 「Yahoo(の買収)は、決してわれわれが模索していた唯一の戦略ではなかった。それは単に、われわれのオンライン広告事業を加速させる上での一選択肢であった。(中略)われわれは他の複数の買収案件にも資金を注ぎ込むつもりである。500億ドルを手にしているのだから、もっと多くのことを成し遂げることができる」と語った。
Ballmer氏の一連のコメントを支持するものとして、Microsoftの他の複数の関係者も、Yahoo(の買収)が、常に「一選択肢となる」戦略に過ぎず、「決して唯一絶対的な」戦略であったわけではないとの主張を展開している。
Yahooは、(Microsoftにとって)目的を達成する上での一手段に過ぎない。もちろんMicrosoftは、主にYahooの検索ビジネスに興味があったのだが、Yahooが有する他の資産を買収することも、若干の戦略的な価値を持つと考えていたことは明白である。さもなければ、または、Microsoftが全社買収を提案する以外には成し遂げられないことがあるとでも考えていなかったのであれば、あれほどの大金を注ぎ込もうとすることはなかったはずである。
筆者は、Ballmer氏のモスクワでのコメントを分析して、わずかながらBallmer氏が、これまでの展開の修正に当たっているとの持論を披露した。2008年1月31日時点のYahooの株価に62%のプレミアムを付けて設定された、1株当たり31ドルとなる、当初の446億ドルに上る買収提示額は、単にYahooの検索テクノロジ、技術者、他社との提携関係などを手中に収める以上の目的が絡んでいた。
両社の交渉が、過去113日ほどの間に幾多の変遷を経た後、Ballmer氏や、同氏が率いる戦略チームは、Yahooの検索ビジネスに集中するという方針へと、全面的にシフトしてきた。Microsoftが5月3日に交渉を打ち切る前に、検索関連分野での提携案を持ち出したのは、やはりYahooのCEOであるJerry Yang氏であったと思われる。Microsoftの目前で検索に関する取引を提示すると同時に、 Yang氏は、Googleとも検索分野でパートナーシップを結ぶ協議を進めていた。
そのことは、1株当たり33ドルの再提示額を引き下げた時に、YahooがGoogleとの検索取引に関する交渉に入ったことこそ、Microsoftが交渉を打ち切るに至らせた主な原因であると記して、Ballmer氏がYang氏に宛てた書簡から明らかになった。
いまやMicrosoftは、再びYahooと検索分野での交渉に入っており、5月18日に出されたMicrosoftからの声明によれば、Microsoftは「将来のYahooとの交渉の進展や、YahooまたはMicrosoftの株主、他のサードパーティーとの交渉次第では」Yahooの完全買収という選択肢を検討する権利も留保すると説明されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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