[年末特集:2006]マイクロソフトの1年を振り返る--Live戦略とVista

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、福岡洋一2006年12月29日 08時00分

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 2006年の初め、Microsoftは「Windows Vista」と「Office 2007」を年内には店頭に並べたいと考えていた。

 全体的に見ると、Microsoftはこの目標を達成することができなかった。両製品とも11月に完成し、大口企業顧客への製品提供は間に合った。しかし、一般向けの販売は2007年1月末になってしまった。

 Windows VistaとOffice 2007のグループがMicrosoft本社の一角で開発に取り組んでいたとき、別のグループはMicrosoftのほとんどの製品に「Live」を付ける仕事にあたっていた。2005年末、Microsoftはインターネットサービスと広告収入によって支えられるソフトウェアの計画を発表したが、この計画の最初の成果物を提供するまでに、2006年のほとんどを費やした。

 「Hotmail」を、より現代的なウェブメールサービス「Windows Live Mail」へと改良を行うのが、最大の取り組みの1つだった。Microsoftは2006年中に最終版を完成させたいと考えていたが、結果的に、「ベータ」の文字を外すことができたのはオランダでのみだった。一方、インスタントメッセージング(IM)の分野では、「Windows Live Messenger」の最終版をリリースし、YahooのIMネットワークとの相互接続機能を追加するなどして健闘した。

 Microsoftはサービス戦略の中で広告分野にも取り組んだ。2006年春、同社は独自の検索連動広告エンジン「adCenter」を展開し、米国内の検索クエリに対し適用したが、この移行は短期的な成功をもたらしただけだった。また、同社は広告の取り組みをビデオゲームの分野に拡大し、5月にはゲーム内広告企業Massiveを買収した。

 Apple ComputerのiPodに何年も負け続けているデジタル音楽の分野では、パートナー企業を中心とした「PlaysForSure」プログラムを棚上げにし、独自のプレーヤーとサービスによる「Zune」を立ち上げた

 Microsoftはまた、「Origami Project」関連でいつになく世間を騒がせた。しかし、このミニタブレットPCの詳細が明らかになると、熱気はかなり冷めてしまった。結局、最初の機器は期待された500ドルをはるかに上回る価格で販売された。またこの機器は、一部で予想された丸一日使えるだけのバッテリ駆動時間も達成できなかった。

 ほかの面でも、2006年は大転換の年だった。Microsoftでは、2005年に始まった組織再編の影響から、経営陣の組み替えが引き続き行われた。重要な異動を1つ挙げると、再編の結果、長年Office部門の幹部だったSteven Sinofsky氏がWindowsの部門に移り、OSの開発を率いることになった。

 しかし、人事で最大の出来事は、6月に衝撃的に行われた、会長Bill Gates氏に関する発表だった。Gates氏は慈善活動により多くの時間を費やすため、自分は2008年に非常勤になると語った、

 法律の面では、Microsoftは引き続き欧州の反トラスト当局と争いつつ、Symantecによる訴訟の標的にもなった。一方で、長年のライバルであるNovellとは和解を試み、11月にはWindowsとNovellの「SUSE Linux」との連係を改善するために両社が提携を発表した。また、MicrosoftはSUSE Linuxの利用者に対し法的保護を提供することに同意した。

 しかし、こうした両社の緊張緩和も長くは続かなかった。1カ月と経たないうちに、両社はLinuxがMicrosoftの特許を侵害しているかどうかについて、「一致していないということで合意した」のだった。

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