Microsoftが自社の検索エンジン「Bing」に人工知能(AI)を組み込み、同種のサービスとして圧倒的に優勢なGoogleに挑んだのは、大胆な一手だった。だが、その結果は有望そうに思える。新しくなったBingが果たしてMicrosoftの思い切った主張にかなうものなのか、そしてOpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」の驚異的な機能に匹敵するのかどうかを調べるために、筆者はGoogleと新しくなったBingに同じ質問をぶつけてみた。
手短に言うと、舌を巻いている。Bingはオンライン検索に新機軸もたらすものだ。1記事内で示した10件のテストの内の8回で、筆者はBingの答えに軍配を上げた。これは、BingのAIの能力が優れていたためだ。
この新しい検索エンジンが、私たちの日常生活をどう変えるかは、まだ定かではない。Googleといえば検索と同義であり、長年にわたって定着している人の習慣を変えるのは難しい。Googleも、「Bard」という独自のAIチャットボット技術の開発を手掛けており、いずれは同社の検索結果に組み込まれる見込みだ。
だが、Microsoftはすでに、Bingに大きな注目を集めている。これは久しぶりのことだ。米国時間2月9日には、AI搭載のBingを試用するための順番待ちリストに登録したユーザー数が100万人を超えた、とコンシューマープロダクトマーケティング責任者のYusuf Mehdi氏がツイートした。いずれにしても、今後さらに強力な検索エンジンの登場が予想される。
「テキサス州 ウェーコ 天気」とか「グルニオンとは」といった日常的な検索については、BingもGoogleもうまく機能する。MicrosoftのパートナーであるOpenAIの大規模言語モデルAI技術によって、特に目立った機能が加わるわけではない。一方、複雑な検索では、Microsoftのウェブインデックスと、OpenAIによる言語の処理および生成能力がかなり役立つ場合がある。
筆者は、そうした複雑な質問で両エンジンを比較しようと試みた。科学的な手法ではないが、傾向は現れたと思う。
筆者が試した検索と、その結果をご覧いただきたい。
BingでもGoogleでも、通常の検索結果は、特にどうということはなかった。Bingでは、ロサンゼルスに関するWikipediaの記事にリンクしている派手なボックスが表示され、Googleでは、そのルート沿いの一般的な観光案内を掲載したWanderlogのサイトが提示された。
AI搭載のBingになると検索結果はかなり磨きがかかり、この質問の肝心な部分が拾われている。「ハイキング」という単語だ。トップで提案されたのは、ロサンゼルス北東に位置するベーデン=パウエル山を登る9マイル(約14.5km)のハイキングコースで、出典はPlanetWareのウェブサイトだった。このハイキング自体が良いものかどうかは保証できないものの、ルート上のハイキングコースが選ばれたのは確かだ。質問を繰り返すと、別の提案も示される。アルバカーキ周辺の短めのコースや、グランドキャニオン付近のコースもいくつか挙がってきて、悪くはないが、国道66号線からはだいぶ距離がある。アルバカーキのトレイルに関するフォローアップの提案をクリックすると、説明文や、コース開始地点の住所、長短のコースオプション、いくつかの参考リンクが表示された。
勝者:Bing
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