Microsoftは米国時間2月7日、強化版「Bing」を発表した。長年2位に甘んじている同社の検索エンジンBingに、「ChatGPT」に利用されている人工知能(AI)技術を組み込んだという。この新しい「Bing」は、会話形式でユーザーの質問に答え、旅行の計画や住まいのリフォームの下調べなどに利用できるチャットボットを備えている。
今のところ、AI搭載のBingを利用するには順番待ちリストへの登録が必要だが、Microsoftによると、数カ月以内に広く提供され、自由に使えるようになるという。
この技術は今後、正確性や安全性に関する懸念を払拭しなければならない。これまでのチャットボットは、悪意に満ちた言葉を発することなどがあったためサービスが停止された。Microsoftは現時点で、BingはAI技術によってウェブのコパイロットになる、と説明している。AI利用の検索でできるようになったことをいくつか紹介する。
普段どおり「Bing.com」で検索すればいい。新しくなったのは、検索順位エンジンにOpenAIのモデルが適用された点だ。それによって、検索結果の関連性が大きく向上したため、Bingでの基本的な検索に対する回答が向上するだろうとMicrosoftは述べている。
AIにより、検索結果には要約も表示される。人気が出ると同社が予想している利用事例は、旅行の計画だ。例えば、ニューオーリンズに3日間行くなら、何をすべきだろうかと、Bingで検索すると、おすすめの観光地や博物館を掲載したサイトへのリンクだけでなく、ウェブ上の情報をAIがまとめた要約もサイドバーに表示される。サイドバーには情報のソースへのリンクもあるので、さらに詳しい内容を入手できる。
Bingで1度検索した後にさらに質問したい場合は、検索ページの上部付近にあるチャットアイコンをクリックする。ここから、検索結果を改善できる。旅行計画の例では、子どもと一緒にニューオーリンズを訪れることを説明したり、3日間の旅程を提案してもらったりできる。
Bingは、こうした会話形式で、かなりきめ細かい結果を提示できる。訪れる場所についての説明が付いた詳細な旅程だけでなく、例えばニューオーリンズにおけるアクティビティー間の移動時間を尋ねることも可能だ。
また、エアコンの設置など、住まいに関するアドバイスを検索する場合にも使える。例えば、すでに配管用の穴があることを説明すれば、より自分に合った情報が得られる。
新しいBingは、ユーザーの代わりに文章を書いてくれる。例えば、住居の修繕について調べた後、分かったことをまとめたメールを同居するパートナー宛てに書いてもらえる。その文章を自分で編集して、新規メールのテキストボックスをクリックすれば、そこに文章が貼り付けられる。
また、ユーザーが最近オンラインで公開している、ChatGPTによって書かれた多くの文章と同じように、Bingも新しい文章を書ける。「小さな子どものために、月に行く好奇心の強い犬の物語を書いて」という風変わりなものから、「アパートの家賃の値上げに抗議する手紙を書いて」というまじめなものまで、どのような文章でも生成できる。面白い文章にするよう指示するなど、トーンを調整することも可能だ。
新たに改良された「Microsoft Edge」ブラウザーでは、Bingのサイドバーを開き、表示中のものについて詳細な情報を得られるようになる。例えば、「Amazon」で商品リストを開いてからサイドバーを開くと、その商品に関する情報として、仕様、価格、使用例などの概要が表示される。
例えば、あるiRobot製掃除機について、猫を飼っている人からのレビューを表示させることもできる。その掃除機に関するAmazonのレビューから猫に言及している箇所が抽出され、Bingが生成する要約とともに表示される。
また、Bingに長い文書の要点を抽出してもらった上で、それを別の文書と比較することも可能だ。
「メキシコ出身の有名な画家は?」といった質問を検索エンジンに入力して、ウェブサイトからの抜粋や関連する人物のリスト、Wikipediaへのリンクが表示されたことはよくあるだろう。こういった質問は大まかすぎて、たいていは答えを得るためにその検索ページから離れなければならなくなる。だが、新しいBingなら、もうしばらくの間、そこにとどまっていられる。
新しいBingでメキシコ出身の画家について質問すると、主要な画家の一覧とその作品の説明が表示される。あとは好きなように、詳しい情報を得るためにソースへのリンクをクリックしてもいいし、チャット機能を使ってもっと絞り込んだ検索結果を求めてもいい。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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