米国のスマートフォンシェアで、「Android」が10年以上ぶりに「iPhone」に抜かれ、2位に転落した。無料のオープンソースOSであるAndroidは、今でも世界の多数のスマートフォンに搭載されており、サムスンやMotorola、OnePlusのデバイスで採用されている。TCL、Nokia、BLUといった低価格ブランドのスマートフォンを足しても、Androidスマートフォンの米国におけるシェアはiPhoneに及ばない。
世界的に見ると、Appleがシェア1位を誇っている国は多くない。AppleのシェアがAndroidを上回っている国は、米国、カナダ、日本だけだ。それ以外のすべての国では、Androidがリードしており、多くの場合、Appleに大きな差を付けている。
Androidが首位から陥落したことは、Appleが「iPhone」シリーズを中心に名声を築き上げてきたことを証明している。有名人がカフェで耳にiPhoneを当てているところの写真が撮られたり、深夜番組の司会者が「Apple Watch」を手首に装着して機知に富んだトークを披露したりしている。つまり、Apple製品は、米国の上流階級を表す機能であり、ファッションでもあるのだ。そして、「iMessage」によって、Appleはメッセージの差別化を生み出した。(iPhoneを)「持つ者」のメッセージは美しい青色の吹き出しで表示されるのに対し、「持たざる者」のメッセージは醜い緑色の吹き出しで表示される。さらに、映画の中で悪役がiPhoneを使用することまで禁止されている。
しかし、米国で王座を奪還しようとするAndroidの試みについては、楽観できる理由がある。Googleは、「Pixel Watch」の発売などによって、「Pixel 7」を取り巻くエコシステムの構築に取り組んでいる。2023年には、「Pixel Tablet」も登場する。そして、Androidの熱狂的なファンは、ハリウッドのセットにはいないかもしれないが、確実に存在する。
それでは、Androidが米国でシェア1位に返り咲くために、Googleには何ができるのだろうか。以下でいくつかの案を紹介していこう。
GoogleがPixel Watchを発売するのが遅すぎたため、Apple Watchがトロイの木馬のようになり、人々はAppleのエコシステムにずっと閉じ込められている。
「Appleのエコシステムから抜け出すのは非常に難しい。特にApple Watchを購入すると、iPhoneを手放せなくなる」と話すのは、TechsponentialのアナリストのAvi Greengart氏だ。Googleは2022年になってようやくスマートウォッチを発売した。「とはいえ、同社の最初のスマートウォッチは、間違いなくバージョン1.0の製品だ」
GoogleがPixel Watchをなかなか発売しなかったため、Apple Watchに大きく引き離されている。少なくとも今は選択肢が登場したので、Pixelの所有者は取り残されていると感じずに済むようになった。
Androidの分野で競争が非常に少ないという点で、米国市場は世界の他の市場とは異なる。中国のテクノロジー企業が米国の消費者を追跡していることへの懸念から、華為技術(ファーウェイ)や小米(シャオミ)、OPPOといったブランドが米国で事業を展開するのは、基本的に不可能となっている。そのため、サムスンとGoogle以外で代わりとなる製品を販売できるブランドは、ほんの一握りだ。
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