パナソニックグループが進める「サスティナブル・スマートタウン」プロジェクトで関西初となる「Suitaサスティナブル・スマートタウン」(SuitaSST)が4月29日のまちびらきに先駆け、プレス発表会と現地視察会が行われた。
SuitaSSTは、大阪府吹田市岸部中のパナソニック工場跡地に、異業種15社で構成されるSuita サスティナブル・スマートタウン協議会と、アドバイザーである吹田市がパートナーとなって進める多世代居住型健康スマートタウン。「Suitable Town for Fine Tomorrows」をコンセプトに、次世代エネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネス、コミュニティという5つのテーマを設け、分野を横断した相互連携により、カーボンニュートラルが当たり前の社会や、誰もが幸せに生きられるウェルビーイング社会の実現を目指す。
協議会には代表幹事のパナソニック オペレーショナルエクセレンスをはじめ、大阪ガス、関西電力、学研ホールディングス、興和、綜合警備保障(ALSOK)、中銀インテグレーション、西日本電信電話(NTT西日本)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、JR西日本不動産開発、パナソニック ホームズ、阪急オアシス、プライム ライフ テクノロジーズ、三井住友信託銀行、竹中工務店ら15社が参画。これらのパートナー企業に、地域住民、自治体・行政、大学が加わり、さらに吹田市等が近隣で進める北大阪健康医療都市「健都」とも相互連携を図り、地域の価値向上につなげる。
プレス発表会にはパナソニック ホールディングス代表取締役社長執行役員グループCEOの楠見雄規氏をはじめ、吹田市長の後藤圭二氏と健都の中核施設である国立循環器病研究センター理事長の大津欣也氏が出席。楠見氏は「SSTプロジェクトを新しい形での地域貢献と位置づけ、2025年開催の大阪・関西万博でのイノベーションも取り入れながら社会課題解決に取り組む」とコメントしている。
全体概要についてパナソニック ホールディングス副社長執行役員の宮部義幸氏が説明し、スマートタウンでの取り組みが代表5社から紹介された。SuitaSSTは2015年にプロジェクトの検討が開始され、2019年にまちづくり構想を発表した。ファミリー分譲マンション、シニア分譲マンション、単身者共同住宅、ウェルネス複合施設(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、在宅介護施設、学習塾、認可保育所)、交流公園、そして複合商業施設で構成され、すでに一部で入居が始まっている。
街としての機能は2019年の発表内容と大きく変わりはないが、街全体の消費電力を再生可能エネルギー100%で賄う日本初の「再エネ100タウン」を実現する中で、蓄電池やEV車両などを活用したり、非常時には街の外からも利用できるようにするなどレジリエンスが高められている。施設の機能にもパナソニックが藤沢市と横浜市の綱島で実施しているSSTプロジェクトの成果が取り入れられ、子どもからお年寄りまで支援する教育・医療福祉サービスの提供などソフト面にも力を入れる。
提供されるサービスは、AIや4K搭載の高性能タウンカメラによる画像検知と警備員の駆け付けを組み合わせた複合的なセキュリティ、IoTを活用した高齢者の認知機能の検知、スマホアプリやPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)などと連携する健康まちづくりコードの策定など幅広い。また、タウンマネジメントを行う組織一般社団法人 Suita SSTタウンマネジメントによる、イベントやセミナーなどを通じた街のコミュニティ醸成にも取り組む。
参加企業は異業種といえどもビジネスでは競合する点が多々ある。それでも参画するメリットとして「スマートシティとは異なるコンパクトなスマートタウンだからこそ実現できるサスティナブル性に重点を置き、まちびらきの後もさまざまな実証実験を継続して行える点」を挙げる。宮部氏は「異業種が集まる協議会で共創が生まれたことに一番の手応えを感じている」とコメントし、「今後はタウンマネジメントがいかに機能するかにかかっており、今日をスタートに地域住民の理解を得ながら最先端の街であり続け、未来に繋げるものを作りあげていきたい」と述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」