パナソニックは9月17日、パートナー企業13社と吹田市との共創によるまちづくり構想「Suita サスティナブル・スマートタウン(以下、Suita SST)」を策定したことを発表した。吹田市岸部のパナソニック工場跡地に、多世代居住・地域共生・健康をテーマにしたまちづくりを行うもので、異業種が相互に連携し、分野横断でさまざまな取り組みを進め、タウンデータを活用した新しいサービスづくりにも挑む。
Suita SSTは、パナソニックが神奈川県藤沢市と横浜市綱島で進めるSSTに続く関西初のプロジェクトで、2.3ヘクタールの敷地に、ファミリー、シニア向け分譲マンション、単身者共同住宅、ウェルネス複合施設、複合商業施設、交流公園を設け、参画事業者が得意とする技術やサービスをそれぞれ提供する。「Suitable Town for Fine Tomorrows」をコンセプトに吹田市が進める北大阪健康医療都市(以下、健都)とも連動。2020年春に着工し、2年後のまちびらきを予定している。
パナソニック 代表取締役社長の津賀一宏氏は、同社がスマートシティ構想を進める理由として「モノの所有からコトの体験へ社会が求めるものが変化し、『くらしアップデート』を企業目標に掲げて対応しているが、その象徴として街全体で暮らしをサポートする仕組みづくりを進めるため」と説明する。超高齢社会に向き合い、健康な暮らしができる技術やサービスの実現を目指し、「計画はフィードバックを元にアップデートし、進化し続けることで地域の価値を高めていく」としている。
Suita SSTでは異業種14社がエネルギー、セキュリティ、ウェルネス、コミュニティ、モビリティの5分野で、それぞれの得意分野を活かして協業する。たとえば、エネルギー分野では街区全体の消費電力を実質再生可能エネルギー100%で賄う日本初の「再エネ100タウン」を大阪ガスと関西電力と協力して目指し、災害時に3日間のバックアップが行えるよう計画されている。また、ヒートアイランド対策や予防医学を取り入れた公園施設を竹中工務店と作り、セキュリティ分野では、ALSOKが開発する警備ロボットの導入や警備員を配置した街の見守り拠点を設置する。ほかにも街区内に高精度のタウンカメラを設置し、行動認知技術で不審者を検知したり、転倒検知するほか、顔認証技術で施設の入退出管理や決済、さらに認知予防につなげるなど、タウンデータを活用した新しいサービスづくりにも取り組む。
パナソニック 執行役員の井戸正弘氏は、「Suita SSTでは将来目標から解決策を検討するバックキャストで2030年をゴールに設定し、タウンマネジメント組織や交流空間を設けるなど、オープンイノベーションで誰もが共有できるプラットフォームを目指す」と話す。さらに周囲の大学やスタジアム、万博公園などの広域でも連携し、新たなビジネスモデル構築でほかの地域にも応用できるパッケージとしていくことも視野に入れている。
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