たとえるなら「何でもできるパソコン」--IoT×卓上IH「Repro」に見る調理の可能性

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 一般的なレシピのほとんどは、“弱火”で煮る、“中火”で炒めるといったように、弱火・強火・中火といったあいまいな表現にとどまる。通常使用されるガスコンロやIHクッキングヒーターでは、正確な温度がわからないからだ。

 そうした中、30度から200度まで1度刻みの温度設定と、1秒から24時間まで1秒刻みの時間設定によって厳密な調理ができる、スマートフォンと連携したIoT加熱調理機器「Repro(リプロ)」が発売された。手がけたのはCS放送事業やコンテンツ制作、広告事業などを行うプロデュース・オンデマンドで、タニカ電器との共同開発によって誕生した。価格は10万7800円(税込)~、Repro公式ストアで購入できる。

 
プロデュース・オンデマンド代表取締役社長の菊地頼氏とRepro
プロデュース・オンデマンド代表取締役社長の菊地頼氏とRepro

Reproのレシピ作成はプログラム

 Reproは本体上部に温度センサーを搭載するIH調理器で、本体センサーと外部センサーを組み合わせることで水温(煮物)、油温(揚げ物)、表面温度(炒め物)の3つの温度を細かく調節して調理を行う。

 調理工程を「加熱(低=30~99度)」、「加熱(高=100~200度)」、「沸騰」「待機」「ループ」「終了」の6つのアクションに分け、まるでプログラミングのように組み合わせることで最大15ステップまでのレシピを作成できる。火加減を弱火・中火・強火という表現ではなく、温度と時間で管理することによって、作られたレシピの再現性を高められるのが大きな特徴だ。

 Reproはスマートフォン・タブレット端末とBluetoothや無線LANで接続できる。アプリ上に公開されているレシピを選び、Reproにスマートフォンから送信すれば、ワンタッチで自動調理が始まる。詳細なレシピを作成したいときは、PC・タブレット・スマートフォンを利用して作成できる。

 実際にReproはどのように調理を進められるのか、そして特長や魅力があるのか。開発の中心となったプロデュース・オンデマンド代表取締役社長の菊地頼氏が率いる開発チームにデモをしてもらったので、紹介したい。

開発のきっかけは「和風だし」

 Reproを開発するきっかけになったのは「和風だし」だった。菊地氏が和食の料理人出身の熊川充洋氏とともに老人介護施設のレシピを開発する仕事があり、和食を出す上でおいしいだしを取ることを考えた。しかし「昆布を60度のお湯で1時間かけてだしを取る」というレシピを伝えても、それを職人ではない普通の作業員が行うことはできない。そこで「だしを普通に引ける機械を作ろうと作り始めた」と菊地氏は語る。

 Reproで提供している「基本の合わせだし」は真昆布を60度のお湯で1時間、その後85度まで加熱してから、かつお節を入れ50秒間するとできあがる。「京都大学と京都の料理人たちが共同研究した結果生まれたレシピ」(菊地氏)だという。

60度のお湯で1時間かけて真昆布からだしを取る
60度のお湯で1時間かけて真昆布からだしを取る
その後85度まで加熱するが、かつお節からだしを取る時間はわずか50秒だ
その後85度まで加熱するが、かつお節からだしを取る時間はわずか50秒だ
1時間ちょっとかけて抽出した合わせだし。氷水などで冷ましてピッチャーなどの容器に入れれば、冷蔵庫で2~3日は保存できる
1時間ちょっとかけて抽出した合わせだし。氷水などで冷ましてピッチャーなどの容器に入れれば、冷蔵庫で2~3日は保存できる

 Reproは6月7日現在、71のレシピを掲載しており、Reproユーザーもレシピを投稿できるようになっている。開発チームが公開するレシピのユニークなのが、レシピの食材の分量だけでなく銘柄まで、さらに鍋やフライパンなどの道具も明記している点にある。

Reproのレシピサイト
Reproのレシピサイト
「基本の合わせだし」のレシピ。材料の分量や銘柄、さらに使った鍋などの道具も明記されているのがユニークだ
「基本の合わせだし」のレシピ。材料の分量や銘柄、さらに使った鍋などの道具も明記されているのがユニークだ

 「レシピサイトでも分量は明示しているが、火加減は『弱火』などと表現されていて分かりにくい。Reproだとそれがなくなるので全く同じものが作れるが、おいしくないものができると、『素材かな?』と考えるだろう。たとえば同じ昆布でも、利尻昆布や真昆布などいろいろあるので、できるだけ具体的な商品名を入れている」(菊地氏)

 真昆布は「伏高 尾札部白口浜元揃え」、かつお節は「伏高 薩摩型本節」と明記されており、それぞれ直販サイトへのリンクまで張られているのが面白い。高級食材を選んでいる場合もあるが、水をサントリーの「南アルプスの天然水」にしているのは「京都の水道水とほぼ同じ硬度」(菊地氏)で、醤油をキッコーマンの「しぼりたて生しょうゆ」にしているのは、二重構造の「やわらか密封ボトル」の鮮度保持機能が優れているからなど、しっかりと理由がある。紹介されているものをすべてそろえれば、リファレンスと同じ料理をほぼ確実に作れるのが興味深い。

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