Twitter Japanは5月13日、広告プロダクトに関する今後の方針についてメディアブリーフィングを開催した。アップデートされた各広告プロダクトや、今後提供予定の新メニューなどを紹介した。
冒頭に、同社の広告事業執行役員である松山歩氏が登壇。Twitterは広告事業を拡大して、持続的に成長する戦略だとした上で、「優先順位が高い事項として、強固な広告配信基盤の構築があった」と、広告メニューの強化に努めたという。具体的には、モバイルアプリインストール広告と、ウェブサイトへの誘導広告の再構築を実施。これにともない、新プロダクトや機能のアップデート配信量も2倍ほどに高まったとする。
同社では、広告関連プロダクトのブランド名を整理。従来はネーミングに一貫性がなく、20種類以上のフォーマット名に分かれていたが、これらを「プロモ広告」「フォロワー獲得広告」「Twitter Amplify」「Twitterテイクオーバー」「Twitterライブ」「Twitter広告の機能」の7種類に集約した。
再設計されたパフォーマンス広告には、モバイル端末向けのアプリをインストールさせるための広告と、ウェブサイトに誘導する広告の2種類が存在する。アプリインストール広告の再構築については、2020年から注力しているが、背景には昨今のライフスタイルの変化に伴い、スマートフォンと向き合う時間が増えたことを要因として挙げている。
アプリインストール広告について、具体的に改良されたのは主に4点。広告作成インターフェースの向上、インストール最適化の改善、自動入札の性能向上、SKAdNetworkへの対応に分けられる。
一方、ウェブサイトクリック広告については、「クリックID」という新機能が2月にリリースされたことがトピックだ。従来は、効果測定にCookieを使っていたが、昨今の脱Cookieの流れを受け、精度が出にくくなっていたという。しかし、クリックIDを用いることで、測定精度は10倍に上がったという。また、クリックトゥランド率(広告のクリック後にウェブサイトがしっかり閲覧された割合)も26%増えた。
なお、どちらのタイプの広告にも関わる機能として、2020年11月に正式リリースされたカルーセル広告も広告主にとっては重要な選択肢となる。左右にスワイプして画像や動画を切り替えられることで、エンゲージを高められるほか、広告内で提示できる情報やストーリーも増加するからだ。具体的な効果として、クリック率は26〜73%増え、CPCは15〜30%低減したという(※日本における2021年1月の全案件平均、カルーセル以外のカードクリエイティブとの比較値、TAP除く)。
2021年の後半には、「Branded Likes(ブランドいいね)」をグローバルで提供予定。グローバル・ビデオ・ソリューションズ 日本・韓国担当のラスエド・ワリード氏によると、投稿のいいねボタンをブランドイメージのアニメーションでカスタマイズできる機能と説明する。
また、タイムラインの最上部に動画広告を表示させる「タイムラインテイクオーバー」や、検索タブの最上部にブランド情報を表示させる「トレンドテイクオーバープラス」なども、高いリーチを得られる手法として紹介。特に、タイムラインテイクオーバーは、かつて「ファーストビュー」と呼ばれていたプロダクトと同一だが、より高いパフォーマンスを発揮させるために再設計され、従来よりも平均30〜40%のインプレッション・リーチの増加が見込めるという。
さらに、新しい入札モデルとしては、「15秒再生の入札」がある。CPM入札モデルとして選択でき、15秒または再生完了のうち、どちらか早い方の達成が最適化対象とされるという。ワリード氏は、「リーチ数を伸ばすよりも、動画を長く見て欲しい場合には、15秒再生課金の方を設定をしてもらうのがおすすめ」と語る。
動画コンテンツが始まるまえに広告を再生するプレロール再生が行える「Amplify」に関してもアップデート。同サービスには、カテゴリーを指定して配信するタイプの「Amplifyプレロール」と、配信主を指定して配信する「Amplifyスポンサーシップ」の2通りがある。4月には前者について、広告主が選択できるカテゴリーを拡張。標準の15カテゴリーだけでなく、フットボール、バスケットボール、野球、eスポーツチーム、ライフスタイルなどのプレミアムカテゴリーが用意された。また、プレロール動画のフォーマット自体も再設計され、広告想起を最大20%増加させたという。
Twitterでは、2021年の第1四半期におけるmDAU(※ボットなどを除いて収益につながる純粋なデイリーアクティブユーザーの数)が1億9900万に登り、前年度比20%増を達成。松山氏はこうした変化について、「激変している社会情勢のなか、より早く多くの情報を探している人が増えていることの現れ」と話した。
こうした背景を前提に、同社は単なるコンテンツ投稿を超えた領域への事業拡大を試みている。例えば、「REVUE(レビュー)」は、元々オランダの新興企業が開発したメールマガジン配信サービスであり、Twitterが1月に買収。日本では「ニュースレター」なる新機能として、有料購読の仕組みを取り入れ、広告以外の収益を伸ばす方針を明かしている。
また、クリエーターがTwitter上で直接収益を獲得できる「SUPER FOLLOWS(スーパーフォロー)」という新機能のコンセプトも発表されている。こちらはファンがクリエーターを直接購読して、支援することで、通常のフォロワーには表示されない特別なコンテンツが閲覧できる使い方を想定する。
さらに、Twitter上で音声ライブチャットを配信できる「SPACES(スペース)」もトピックだ。5月4日には、iOS/Android版の両アプリで正式にローンチされた。フォロワー数600人以上の全てのアカウントで、SPACESが作成できるようになっている。ホストは最大11人までだが、リスナーの人数は無制限だ。こちらも、有料チケット制も導入予定。クリエーターのマネタイズ手段を提供する。
松山氏は、Twitterをマーケティングに活かすメリットは、大きく2つあると解説。1つ目は、オーディエンスにリーチできる速度が早く、狙ったタイミングで確実にターゲットに届けられること。2つ目は、世の中で盛り上がっている話題に合わせて、ブランドがメッセージを届けられることだという旨を述べている。
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