整ったM1搭載Macのラインアップ、中国ユーザーのデータ移管問題--Appleニュース一気読み

 Appleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。Appleは自社の製品とサービスのエコシステムにおいて、ユーザーのセキュリティとプライバシーを重視している点をアピールしてきた。

 実際、プライバシー問題については、なるべくデータをとらない、端末内で処理する(そのために機械学習処理性能に力を入れてきた)、保存や通信するデータの暗号化、堅牢なデバイスとサービスのセキュリティ等に取り組んでいる。

 特に2021年に入ってからは、アプリによるユーザー識別子を用いた広告のための追跡機能であるアプリトラッキングについて、ユーザーに同意を求める仕様に変更した(ATT、Application Tracking Transparency)。

 Appleは2020年6月のWWDCでアナウンスした後、9月以降に導入された環境を試せるようにし、さらに半年間が経過した後に導入という、異例とも言えるほどの慎重な姿勢で取り組んできた。それでも、SNS大手のFacebookは広告業界のビジネスを毀損すると反発しており、「無料でFacebookやInstagramを使い続けたければ、ATTに許可して欲しい」とユーザーにアピールしている。

Speaking Up for Small Businesses - About Facebook

 大手SNS企業と揉めてまで、ユーザーのプライバシーを守る姿勢を貫くAppleだったが、The New York Timesは、中国市場において、Appleが中国政府の要求に対してますます譲歩する姿勢を指摘し、中国国内のユーザーのプライバシーや言論の自由を制限している点を批判した。

 もともと、中国の法令に遵守するため、中国ユーザーのデータを格納するためのデータセンターを中国国内に建設中で、これは6月に完成する予定だ。

 データは暗号化され格納するが、これを解除するためのキーも中国に保管される。そのため、中国政府がユーザー情報を入手する可能性があるとNTYは指摘している。また、この点も既に報じられてきたことだが、データセンターの運営や管理についても、中国政府に関わる企業の従業員が行う。

 中国政府に対して譲歩が発生している原因は、Appleのバリューチェーンのうち、調達と製造の大きな部分を中国に依存している点が挙げられる。加えて、2013年頃から、iPhoneの販売を大幅に伸ばしているのが中国市場であり、現在も売上高の15%を占めてる。Tim Cook体制における業績と株価の高いパフォーマンスの下支えにもなった。

 ただし、ユーザーデータの中国への移管を行ったのはAppleだけではない。電気自動車を製造するTeslaも、同様に、中国国内のユーザーのデータの移管を明らかにしている。

アップル、中国政府に譲歩しユーザーデータの安全性を犠牲にしているとの報道(5/18)

Apple Silicon移行の折り返し地点

 Appleは5月21日より、M1搭載で7色展開をするiMacの店頭販売を開始した。十分な処理性能と、ノートパソコンよりも短い奥行きで、家庭内のデスクトップコンピュータに対して新しい価値をもたらす製品となった。

 今回のiMacが追加されたことで、AppleはM1搭載Macのラインアップをほぼ整え終えたと見てよいだろう。M1はMacBook Air、MacBook Pro 13インチの下位モデル、Mac miniの下位モデル、そして今回のiMac 21.5インチを置き換える24インチモデルの4つのMacに搭載された。ちなみに、同時に発売された最新のiPad Proにも、M1が搭載された。

 M1はIntel版27インチiMacの、第10世代8コアIntel Core i7と同等の処理性能を誇り、エントリーモデルのMacの性能を2〜5倍引き上げることに成功している。

 それでいて省電力性能も大幅に向上しており、MacBook Airのようなノート型モデルではより長いバッテリー持続時間を、今回のiMacのようなデスクトップモデルでは、よりシンプルな排熱デザインを元にした、薄く小さなデザインの実現を、とそれぞれのコンピュータの方向性に合わせた生かし方を実現した。

 M1がベースライン(といっても非常に高性能な部類に入るが)だとすれば、今後はミドルレンジの性能を実現するチップの投入と、これを採用するモデルのアップデートが行われていくことになる。

 具体的には、13インチMacBook Proの上位モデル、16インチMacBook Pro、27インチiMac、上位モデルのMac miniに、M1より性能が高いチップが採用されていく流れだ。

 基本的には、A14 BionicのCPU、GPUコア数、ユニファイドメモリの容量を増やしてM1を作ったように、さらにコア数とメモリ容量を増やして行く流れになると予想できる。

 特にM1で強化が必要なのはGPUだ。M1もGeekbench 5のMetalのスコアで20000を超えているが、前述の27インチiMacは37000を上回っており、上位モデルのAMD Radeon Pro 5700XTは60000にも到達する。MacBook Pro 16インチモデルも40000を上回る。

 ミドルレンジ以上の製品を構成する場合、Apple Siliconのグラフィックス強化は必須事項であることがわかる。

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