新型コロナ感染拡大防止を受け、ネット配信の重要性が増した。音楽コンサートも同様にネット配信のコンテンツが増えているが、問題はその音質だ。配信の音と言えば圧縮音源が一般的。それでは生の音のビビットさや空気感は伝わらない。
これに一石を投じたのが「WOWOW」だ。ライブやコンサートの独占生中継番組などを数多く提供しているWOWOWは、新サービスの1つとして音を重視したライブ配信をしたいと検討しており、その一環として、2020年10月に高精細音声配信実験を2回実施した。1回目はヘッドホン、イヤホンに最適化した音源を提供するHPL(Head Phone Listening)とMQAを使ったライブストリーミング配信を行った。ライブ音源は、2チャンネルにダウンミックスされ、MQA方式にエンコード。最終的にMPEG-4 ALS形式に変換し、配信を実現した。
ライブ音源は、マリンバ奏者である名倉誠人さんの演奏。ホール内での生の演奏音に加え、ホワイエでは、ライブストリーミング視聴できる環境を整えた。ストリーミングで視聴してみると、MQAの音はこれまでの配信とは格段に違い圧倒的にすばらしい。ステージ同様のとても生っぽい音を再現していた。
2回目の実験では、Auro-3D 9.1を使って、AUROコーデックを用いた世界初となるディスクリート 3D オーディオの生動画配信を実施。AURO-3Dは、音楽を自然に届けようとするフォーマットなので、生の音に近く、大変良かった。
MQAは、これまでの配信とは違う高品質な音を再現。Auro-3Dはそれに音場を足すので、コンサートホールの響きそのものが家庭に届けられる。ライブ配信は、人同士の接触が制限されたコロナ下で注目を集めたが、新たなコンサートの楽しみ方としてコロナ後も定着しそうだ。
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