麻倉怜士氏が選ぶA&Vベストテン--万能の新技術から大衆映画の名作まで - (page 9)

第3位:ネット配信の常識を超える高音質&音場再現/「MQA+Auro-3DでのWOWOW高精細音声配信実験」(MQAほか)

「MQA+Auro 3DでのWOWOW高精細音声配信実験」。提供:MQA JAPAN
「MQA+Auro-3DでのWOWOW高精細音声配信実験」。提供:MQA JAPAN

 新型コロナ感染拡大防止を受け、ネット配信の重要性が増した。音楽コンサートも同様にネット配信のコンテンツが増えているが、問題はその音質だ。配信の音と言えば圧縮音源が一般的。それでは生の音のビビットさや空気感は伝わらない。

 これに一石を投じたのが「WOWOW」だ。ライブやコンサートの独占生中継番組などを数多く提供しているWOWOWは、新サービスの1つとして音を重視したライブ配信をしたいと検討しており、その一環として、2020年10月に高精細音声配信実験を2回実施した。1回目はヘッドホン、イヤホンに最適化した音源を提供するHPL(Head Phone Listening)とMQAを使ったライブストリーミング配信を行った。ライブ音源は、2チャンネルにダウンミックスされ、MQA方式にエンコード。最終的にMPEG-4 ALS形式に変換し、配信を実現した。

 ライブ音源は、マリンバ奏者である名倉誠人さんの演奏。ホール内での生の演奏音に加え、ホワイエでは、ライブストリーミング視聴できる環境を整えた。ストリーミングで視聴してみると、MQAの音はこれまでの配信とは格段に違い圧倒的にすばらしい。ステージ同様のとても生っぽい音を再現していた。

 2回目の実験では、Auro-3D 9.1を使って、AUROコーデックを用いた世界初となるディスクリート 3D オーディオの生動画配信を実施。AURO-3Dは、音楽を自然に届けようとするフォーマットなので、生の音に近く、大変良かった。

 MQAは、これまでの配信とは違う高品質な音を再現。Auro-3Dはそれに音場を足すので、コンサートホールの響きそのものが家庭に届けられる。ライブ配信は、人同士の接触が制限されたコロナ下で注目を集めたが、新たなコンサートの楽しみ方としてコロナ後も定着しそうだ。

左から、WOWOW技術局の入交英雄氏、名倉誠人氏、麻倉怜士氏。提供:MQA JAPAN
左から、WOWOW技術局の入交英雄氏、名倉誠人氏、麻倉怜士氏。提供:MQA JAPAN

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