麻倉怜士氏が選ぶA&Vベストテン--万能の新技術から大衆映画の名作まで - (page 6)

第6位:昼と夜、2つの顔を8Kが見事に表現/NHK「オルセー美術館 I 太陽の手触り/II 月の肌触り」(BS8K)

NHK「オルセー美術館 I 太陽の手触り/II 月の肌触り」から。ガレ「海藻と貝殻のある手」。Coproduction 8K NHK- Musées d’Orsay et de l’Orangerie
NHK「オルセー美術館 I 太陽の手触り/II 月の肌触り」から。ガレ「海藻と貝殻のある手」。Coproduction 8K NHK- Musées d’Orsay et de l’Orangerie
NHK「オルセー美術館 I 太陽の手触り/II 月の肌触り」から。ポンポン「しろくま」。Coproduction 8K NHK- Musées d’Orsay et de l’Orangerie
NHK「オルセー美術館 I 太陽の手触り/II 月の肌触り」から。ポンポン「しろくま」。Coproduction 8K NHK- Musées d’Orsay et de l’Orangerie

 オルセー美術館をテーマにしたドキュメンタリーは数多くあるが、このコンテンツは美術館の昼の様子を太陽、夜の状態を月に見立てて紹介している。今までのドキュメンタリーとは違う切り口に仕上がっている。

 現地には何度も訪れたが、天井に設けられた半透明の屋根部分から太陽の光が射し込み、その光は絵画の表情も変える。朝7時半には白色に光り、それが突然に黄金へと変化。室内も黄色に変わり、光の移ろいをそのまま美術館に取り入れている。太陽を思い切り堪能できる美術館。それがオルセー美術館だ。8Kコンテンツでは、そうした光の粒が表現され、地面の光と影の色あふれる対比が素晴らしい。

 一方、夜の様子を収めた月の肌触りでは、一般の来場者は体験できない夜のオルセー美術館を見せてくれる。館内は完全な暗闇ではなく、LEDが等間隔で灯され、暗部にグラデーションを与える。白い彫刻で感じる輝く肌のような質感や立体感、絵画においても筆跡の勢いを感じる。

 昼と夜、2つの顔を持つオルセー美術館を見事に表現したオルセー美術館 I 太陽の手触り/II 月の肌触り。4Kとは全く違う、画の素晴らしさ、凄さは8Kならでは。どちらも素晴らしい8K作品に仕上がっている。

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