ヘッドホンやテレビ用スピーカーなど、一部のオーディオ製品は好調だが、ピュアオーディオは2020年も苦戦を強いられた。その中で唯一気を吐いているのが、デノンとマランツブランドを展開するディーアンドエムホールディングスだ。
取り分け目を引いたのは、マランツのネットワークSACDプレーヤー「SACD 30n」。デザインがガラりと変わり、1950年代に発売されていた、レトロフューチャーな見た目になっている。左右に施されたパネルがデコラティブで、一体型ステレオのようなとてもいいデザイン。硬さがなく、柔らかい見た目に仕上がっている。
マランツと言えば、モニター的かつ、誠実で実直な音づくりで定評があるが、SACD 30nは、その定番路線を変え、音に情感が加わり、心に伝わってくる音へと変化させた。これはサウンドマネージャーを務める尾形好宣氏の新たな挑戦が形になっていると思う。
音像がしっかりとしており、明瞭で解像度は高いが、音階の再現力が優しくしなやか。艶っぽくもあり、デザインにマッチした音に仕上がっている。視覚と聴覚が同じコンセプトで統一されているのである。
音だけではなく、「音楽を楽しむ」という方向性になったSACD 30nは、マランツの新しい挑戦である。2020年9月の発売以降、販売も好調だと聞く。売れているには理由があると思わせる内容だ。
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