「オーシャンズ11」モデルで日本のPRを変える--本田哲也氏に聞くブルーカレント独立の真意 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 阿久津良和2019年05月10日 08時00分

プロジェクトごとにチーム編成する「オーシャンズ11」モデル

——正社員を採らないとのことですが、メンバーはどのように集めるのでしょう。

 PR・広報の領域はフリーランス人材も多いので、彼・彼女らとプロジェクトベースでチーム編成する「オーシャンズ11」モデルです。もちろん、大手や中堅の代理店とも協業します。現在はやるべきことが多様化し、必ずしも年契約で同じチームを組む必要はなくなりました。3カ月集中して取り組めばよいプロジェクトでは、求められる人材も異なります。

 たとえば「PRしたい」という企業が特に戦略を持っていないケースがあったとしましょう。その場合は1〜2カ月かけてPR戦略を構築しますが、そこで必要なのはメディアプロモーターではなく、ストラテジストとプランナーです。その後、PR戦略に沿って動くようになれば、メディアプロモーターが必要になり、ストラテジストやプランナーは不要になります。映画の「オーシャンズ11」でいえば、爆弾をしかける人の次は、金庫を開ける人といった感じですね。フェーズによって専門性が変わるので、そこを組み立てていきます。

 このような手法の場合、正社員で固めると動きにくくなりますが、それぞれが身軽だからこそ、チーム編成が容易なんです。重要なのは仕事のクオリティを上げること。10年前では机上の空論でしたが、社会変化にともなって現実味が出てきました。

——これまで培ったネットワークを生かして、案件ごとにスタッフを集めるということですね。

 何らかの形で(外部スタッフを)データベース化するつもりです。一定量のデータがそろえば数年後に価値が出てくるでしょう。また、既存のPR代理店に対抗する意図もありません。むしろ協業です。ブルーカレント・ジャパン時代の競合相手も、今の立場で見れば「A代理店には○○が得意」といった景色が見えてきます。彼らもプロジェクトに参加してもらえるでしょう。

 本田事務所が中心としてアサインする場合、「A代理店のBさん、フリーランスのCさんと組む」ことで、安定的な機能供給をA代理店が担い、フレキシブルな対応はCさんが行います。代理店側から見ても無駄なコンペティションに取り組まず、案件を獲得できるメリットが発生するため、プロジェクトごとにチーム編成します。かっこ悪くいうと「お見合いおばさん」ですね(笑)。

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——本田事務所の活動を通じて、日本のPR業界をどう変えていきたいですか。

 以前から考えていることですが、日本はPR力が足りません。ただポテンシャルは持っています。現代は「モノ作り」から「コト体験」に変化し、(社会は)一瞬戸惑いましたが、少しずつ「コト消費」も上手くなってきました。そのときに重要なのがPR力、モノよりも伝えにくい部分にPRが必要です。

 たとえば目に見えるアパレルの広報から、いきなりテック企業の広報として(目に見えない)クラウドをPRする立場になると戸惑うはずです。そこで必要になるのが「ナラティブ力」です。ナラティブ(語ること)の構築や多様化したチャネルへの対応はPR戦略そのものです。

 日本においては地方創生の文脈を見ても、「コトの価値」を高めることが重要であることは確かでしょう。ただ、海外と比べてもPR力が足りません。だからこそ事務所の設立時には「Powered by PR」を掲げました。

 私はあらゆることがPRでエンパワーできると信じていますが、今はPR力による底上げが重要な時代です。1人でできることは限られますので、本田事務所がそのハブになれることを目指します。だから「ニュートラルなお見合いおばさん」にならないといけないですね(笑)。

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