不動産業界におけるブロックチェーンの導入が始まろうとしている。LIFULLでは、全保連、ゼンリン、ネットプロテクションズ、NTTデータ経営研究所、NTTデータ先端技術らとともに不動産情報の共有におけるブロックチェーン技術を活用したプラットフォームの商用化に向けた共同検討を開始。10月には、不動産情報コンソーシアムを立ち上げた。
目指すのは、ブロックチェーン技術を活用した、不動産情報の管理、共有プラットフォームの構築だ。不動産仲介やポータルサイトなど、1つの物件に対し複数ある情報を1分の1にすることで、正確で最新の情報を分け隔てなく提供することを見据える。
長く日本に根付く不動産のシステムをブロックチェーンは変えられるのか、そしてどんなメリットをもたらすのか。日本ブロックチェーン協会 事務局長の樋田桂一氏と、LIFULLでブロックチェーン技術の活用を推進する、LIFULL HOME'S事業本部 事業統括部 事業支援ユニット ブロックチェーン推進グループの松坂維大氏に話しを聞いた。
ーーブロックチェーンの現状について教えてください。
樋田氏: 仮想通貨ビットコインからはじまったブロックチェーン技術ですが、現状でも仮想通貨に使われているケースがほとんどです。仮想通貨は2017年あたりからICOとして資金調達にも使われていますし、価格が変動しない仮想通貨ステーブルコインなども登場してきており、新たな使い方が登場してきています。
一方で、仮想通貨取引所の閉鎖や多額の流出が話題になるなど、悪い面も目立ちます。そういったこと起こらないよう、法整備を進めるために作られたのが、日本ブロックチェーン協会になります。仮想通貨の法整備などを進めながら、ブロックチェーンの普及、促進を目的に立ち上げました。
ーー確かに盛り上がる一方で、仮想通貨は危ないものという認識が広まってしまったように思います。
樋田氏: あのようなことが二度と起こらないように、法整備を進めているのが現状です。実は仮想通貨に特化した法律をきちんと定めているのは、世界でも日本だけなんですね。ただ、法整備が進められているからといって、日本の仮想通貨が他国に比べ進んでいるわけではなく、その辺りの判断は非常に難しいところですね。
松坂氏: 法整備については、日本はグローバルで見てもかなり厳しいものだと思いますが、それが逆に市場を後退させていると見る人もいると思います。
樋田氏: ブロックチェーン自体は、各個人の考え方によって捉え方がかなり異なる技術なんです。例えばビットコインは政府や銀行を介さず決済できる形を実現する、分散型台帳技術を使っていますが、中央管理者が存在しない「パブリック型」に対し、管理者がいて、使用する人を管理している「プライベート型」を中央集権型のように感じて、嫌悪感を持つ人もいます。
現状ではプライベートとパブリックの両方を使っているプロジェクトもありますし、使い方はさまざまです。ですが、日本においては実サービスに使われているケースは現状とても少ない。その一方で実証実験の数は多く、さまざまな分野に使えないか模索している状態だと思います。
松坂氏: 確かに仮想通貨以外のユースケースはとても少ないですね。本運用として、一般的に使われているものはほぼないと思います。
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