コラビットが提供する「HowMa(ハウマ)」は、中古不動産の流通に焦点を当てたサービスだ。導き出すのは中古マンションや一戸建ての売却価格。AIと独自の不動産鑑定ロジックを組み合わせることで、“一点もの”である戸建ての相場がわかるほか、AIだけでは実現できない徹底的にリアルな価格を算出する。
「テクノロジを使って社会問題を解決したい」という思いからコラビットを立ち上げ、HowMaを作り上げた代表取締役の浅海剛氏に、不動産業界が抱える問題から、独自のロジックがAIによる価格査定にどんなメリットをもたらしているかなどを聞いた。
――元はエンジニアだったそうですが、コラビットを立ち上げた経緯は。
前職は、リクエストの多い映画を映画館で上映するオンデマンドサービスを手がける「ドリパス」でCTOをやっていました。楽しい仕事だったんですが、ある意味小さな業界ですから、私の中で限界を感じてしまって、次は社会問題を解決するようなことをしよう思っていたんです。
そこでどんな社会課題なら変えられる可能性があるか、と考えた時に不動産しかないなと(笑)。すでに空き家は問題になっていましたし、何と言っても日本は不動産の中古流通量が欧米に比べて著しく低い。中古流通を増やすことで社会課題を解決できると考えてコラビットを立ち上げました。
この時点では不動産に関して全くの素人でしたが、始めてみると思いの外面白い。元々知識をつけるのが好きなタイプなので、不動産業界の構造を学んでいくのは面白かったですね。
――2015年の設立から現在まで、どんなサービスを提供されていますか。
自社サービスとして運営している、AIによる価格推定サービスHowMaと、オンラインで媒介契約を締結できる「HowMaスマート不動産売却」を提供しています。
独自ロジックをベースにして価格を推定しているところが最大の特徴です。価格推定はディープラーニングなどを使うケースもありますが、ある特定の条件のときだけ価格が数倍に跳ね上がってしまうようなおかしな数値が出てしまうことがあるんですね。
そういったことが極力起こらないように作っているのがHowMaです。ベースになっているのは不動産鑑定理論や査定マニュアルなどを参考に考案した独自のロジックです。これは土地のパワーみたいなものをベースにしています。わかりやすい例でいうと、駅からの距離や道のり、学校や店舗といった周辺環境を加味して、AIが推定価格を算出しています。
この強みは、例えば六本木の戸建てなど事例がほぼ存在していない建物の価格が推定できたり、これから建つマンションの一部屋の価格がわかったりします。ほかの価格推定サービスにはあまりない一戸建ての価格推定ができるのも同様の仕組みで導き出せます。
――推定する際に使うデータはどうやって収集しているのですか。
公開されている住宅情報サイトから収集してくるのに加え、一部提携している不動産会社とシステムをつなげて、実データを提供していただいています。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」