AIを使った不動産の価格査定には、多くのプレーヤーが存在しているが、リーウェイズが提供するのは、物件の相場ではなく将来予測だ。約10年に渡り集めた6000万件におよぶ物件データを使い、AIが導き出すのは、今、いくらで買えるかではなく、何年後かに訪れる家賃の下落率と売却益など。投資用不動産を購入する際に、手に入れておきたいデータだ。
リーウェイズの代表取締役社長CEOを務めるのは、不動産業界歴25年のベテランである巻口成憲氏。「不動産におけるテクノロジの導入が何度も失敗する姿を見てきた」と話す巻口氏が、なぜ不動産テック企業を設立したのか。そして、ほかの価格査定サービスとは、異なる戦略を敷く理由は何か。リーウェイズが目指す不動産テックと不動産業界の新たな姿について聞いた。
――不動産業界25年という大ベテランですが、そもそもこの業界に入ったきっかけは。
私は、社会人経験を新聞配達からスタートしたんです。2年くらい新聞配達をしていて、これからどうしようかと考えた時にネクタイを締める仕事をしてみたいなと。転職に向けて、簿記などの資格をいろいろ取って、さらに住み込みができる条件で仕事を探したところ、ワンルームマンションの営業職が見つかりました。
体育会系の会社でしたから、1日300件にのぼる電話営業のノルマもこなし、楽しくやっていたんですが、入社後半年くらい経つと、仕事の効率がどうしても悪い。売上80億、従業員も80人くらいの中堅企業でしたが、社内にはワープロやPCが1台もなく、ホワイトボードすらない。会議をしても議事録もつけない状態でした。
体育会系の会社にはよくある環境だと思いますが、いくらなんでも業務効率が悪いですよね。私自身は中学時代からPCオタクだったので、自分で基幹システムを作って会社に導入しました。
そこまでやってみると、今後は経営に興味が出てきて、コンサルタントになるために転職しました。その頃MBAも取得し、会計事務所やコンサルティング会社などいろいろな業界を経験した後、やはり不動産業界が面白いなと思い、この業界に戻りました。
――面白いなと感じたのはどういった部分ですか。
不動産業界ってまだいろんなことができるのでは、という可能性の部分ですね。そこで2005年にリノベーションの会社を立ち上げ、おかげで安定的な売上が得られたのですが、会社が軌道に乗ると、私自身はもうやることがないなと(笑)。そこで、持ち株を処分して、2014年にリーウェイズを設立しました。
2018年で4年目ですが、不動産、資産運用のコンサルティングや不動産取引の意思決定を支える情報インフラを提供しています。2017年には人工知能不動産業務システム「Gate」を正式にリリースしました。
Gateは、不動産会社のための営業支援ツールです。個人向けにも展開していますが、中心は法人向けです。不動産会社はもちろん、金融機関の方にも使っていただいています。
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