――開発にあたってはエンジニア経験がかなり生かされていますね。
そうですね。現時点では、私が手を動かすことはそれほど多くありませんが。実際にHowMaの初期開発にあたっては、自宅を売却して、その経験から作った部分が大きいですね。
元々横浜の一戸建てに住んでいたのですが、妻を説得して売りに出し、住替えました。もちろん当初はすごく反対にあったんですけれど(笑)。この経験は細かいところに活かされてます。例えば、周辺事例の見せ方。自宅を査定してもらうと周辺事例を単純なリストで出してくる不動産会社が多いんですね。これだと正直、何も読み取れない。自宅とどんな違いがあって、価格にどれだけ影響しそうか。こういったことが簡単に把握できるように周辺事例をグラフ化したりしています。
また、自宅の査定に「不動産一括査定」を利用したのですが、一括査定をお願いした途端、不動産会社から一気に電話がかかってくるんですね。不動産会社からすれば「査定しているのだから売却を検討しているだろう」という気持ちなのだと思いますが、こちらからすると「査定はお願いしたけれど、売却相談はしていない」という気持ちがありました。
実際にHowMaの利用ユーザーを調査してみると、今すぐ家を売りたい人が15%、価格を見て考えたい人が50%、別に売りたくないけれど価格を知りたいという人が30%いて、今すぐ売却を考えているわけではないけれど、価格を知りたいというニーズは多い。価格を知りたいだけの人に不動産会社から電話が行くのは、ミスマッチですよね。不動産会社にとってもユーザーにとっても不幸です。これはだめだなと。査定と売却相談は分けるべきだと感じました。
査定はネットで簡単に、売却したいのであれば専門家に依頼する。この形を作り上げるのが自宅売却のもっともフェアな形です。
――確かに売却と査定は別次元の話ですよね。こういった不動産会社側の思い込みで起こるミスマッチは多いように思います。
そういったミスマッチをなくして、それぞれが効率的に査定なり、売却なりに結びつけることがコラビットでやりたかったことです。
――自宅を売却された経験は、HowMaスマート不動産売却にも結びついているのですか。
そうですね。HowMaスマート不動産売却は、対面で行っていた媒介契約をネット上で一度で済ませるサービスです。不動産を売る際に、媒介契約を不動産会社と結ぶ必要があるのですが、何社も回ると同じ話を何度も聞くことになるんですね。店舗を回り、話を聞き、ハンコを押す作業を、回った件数だけ繰り返さないといけない。これは大変だなと。
そこでHowMaスマート不動産売却では、コンシェルジュが代行でヒアリングすることで、一度のヒアリングで完結するようになっています。また、査定書はオンラインで届き、そのままオンラインで最大6社の不動産会社と媒介契約を一瞬で結べるようにしました。売り主は手間なく、高く、早く、物件を売却でき、不動産会社には、売却に関わる情報がシステム上ですべて手に入る。売り主にも不動産会社にも便利なサービスになっています。
――一度に6社と契約できるのはすごいですね。
売り主に会っていないのに媒介契約書ができる、今までのスキームでは考えられないサービスになっています。不動産会社の現場の方にこのサービスを説明すると「これは便利」と言う方がいる一方、「対面しないのは不安」と感じる方もいて、反応は二極化しています。
――これは不動産会社の人たちでは思いつかないサービスなので、そこが反応が二極化する原因かもしれないですね。長年培ってきた対面というやり方に関わった人であれば、奇跡みたいなサービスだと思います。
不動産会社からは「普通だよね」というリアクションはなくて賛否両論あるのを実感しています。1社ごとに同じ作業を繰り返すのであれば、それは時間のむだですよね。それをまとめてできるようにしただけでも価値はあると思っています。
ただ合理化するだけではなく、細部に注意は払っています。例えば媒介契約書ですが、一度必ずチェックしてから通す形を取っています。契約書の部分はひと手間かけることで、後々の安心にもつながりますから、この部分の作業は省略せず、むしろひと手間かけるようにしています。
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