2017年7月の設立発表から1年が経過したWeWork Japan。新橋、丸の内、銀座、六本木、日比谷に加え、7月には神宮前に6つ目のワークスペースをオープンした。フリーランスやスタートアップで働く人が利用者の中心とみられるシェアオフィスだが、実際はサテライトオフィスとして活用されるなど、大手企業の利用も多いという。
単なるシェアオフィスではなく、コミュニケーションを生み出す場所として、会社も業種も異なる人々をつなげる力を持つWeWorkのオフィスはどのように作られ、運営されているのか。不動産テックセミナーに登場した、WeWork Japan リージョンディレクターの豊田慧氏が、センサを使った部屋の活用方法からそれぞれ異なる設計を施したワークスペースの中身までを話した。
WeWork Japanでは現在6つのワークスペースを提供しているが、新橋は9階建てビルを一棟借り、六本木では2フロアを使用、銀座では広いワンフロアに約900席を用意と、拠点ごとに異なる構造を採用している。
「六本木のスペースは2フロアをつなぐ共用階段を設置。ここを行き来することで、人同士のコミュニケーションを生み出している。そのほかの拠点でも共用部を介して執務エリアに入ったり、会議室に行ったりする造りになっている」と豊田氏は共用部の重要性を話す。
共用部にはコーヒーメーカーや軽食が置かれ、利用者同士が自然に話せる場として機能している。共用部を通る動線を作ることで、必然的に人がコミュニケーションしやすくなる。こうしたオフィス内のデザインは、どういった空間がどのように使われているのか、といった実際のデータから導き出されているという
「ワークスペース内の人の動きは、センサを使って計測している。それによって動線がわかり、必要なスペースが見えてくる。例えば12人用の会議室をトラッキングしてみると、実際に使用しているのは平均で3~4名。そこまで広いスペースはムダだとわかった。このスペースを小割にして会議室を増やしたほうがいい」と豊田氏は実例を上げる。会議室1つとっても、地域や場所によって用途や利用頻度が異なる。利用人数、打ち合わせ時間、さらにはどんな飲み物が好まれるのか。WeWorkでは日常の動きをデータ化し「学びながら継続的に向上させていく試みをしている」(豊田氏)と日々の積み重ねでワークスペースの改善に努めていることを明かした。
WeWorkにはフリーランスはもちろん、スタートアップ企業のスタッフ、さらには大手企業の人までが集う。豊田氏は「社員数の増減に対応しやすいため、大手企業の方に活用してもらえるケースが多い。人が増えた時には、シェアリングスペースの契約数を増やせばいいし、少なくなった時も借りているスペースを削減するだけでいい。働き方に柔軟性が出てくる。また、オフィスビルの改装や建て替えなどの際の避難先としても使いやすい」と、豊田氏は大手企業に使われる理由を説明する。
さらにユニークな事例として豊田氏は「スタートアップのスカウトを目的に借りるケースもある」と紹介。縦割りの社内で、横のつながり不足や、社外の人たちとの交流の場としてWeWorkが機能することを強調した。
WeWorkでは、米国で「WeLive」「WeGrow」「WeMRKT」の新サービスを展開中。いずれも日本での展開も見据えているとのこと。WeLiveについては「家具付きのサービスアパートメントのようなイメージ。個室のスペースをコンパクトにし、リーズナブルな賃料で提供する。その分共用空間を広くし、コミュニティを促進させるようなコンセプト。期待しているプロダクトの1つ」と説明した。
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