アドビシステムズは7月18日、「Adobe Analytics Cloud」のデータ管理プラットフォーム(DMP)である「Adobe Audience Manager」において、データの売買が可能になるマーケットプレイス「Audience Marketplace」を国内で展開すると発表した。
マーケット内で、データプラットフォームの選定から契約・決済まで完結でき、企業自身が保有するオンライン・オフラインのファーストパーティデータ、他社のファーストパーティデータであるセカンドパーティーデータ、データプロバイダーなどが提供するサードパティデータを統合可能。特に、セカンドパーティデータの活用は進んでおらず、サードパーティのデータも活用しやすくすることで、ファーストパーティデータだけでは入手できないオーディエンスへのアクセス・作成・理解が可能になるという。
また、サードパーティデータをもとに類推モデルを作成することで、オーディエンスの規模を拡大できるほか、「Adobe Analytics」で得られたウェブの行動データと、データプロバイダーから入手した消費行動データ、興味関心情報を組み合わせることで、オーディエンスがどういった人たちかなどを、より明確にすることができる。さらに、データをもとに「Adobe Target」を使ったサイト上でのリアルタイムコミュニケーションや、「Adobe Advertising Cloud」を活用した、より精度の高い広告配信を実現することで、ユーザーを活性化できる。
データプロバイダーの一部では広告DSPも展開しているものの、プロバイダーが持つデータのみしか活用できない。しかし、マーケットプレイスを活用し、ファーストパーティからサードパーティまでのデータを組み合わせることで、広告配信、パーソナライズ、アナリティクス、メール配信などプライベートDMPのように自社のさまざまなチャネルに対してデータソースを活用できるようになる。データのエクスポートにも対応しており、Adobe Audience Manager以外のツールともデータを共有できる。
そのほか、GDPRにも対応する。ファーストパーティから購入したサードパーティまで、すべてのデータがAudience Manager上で一元的に管理されているため、エンドユーザーから削除や開示のリクエストがあった際にも、マーケットプレイスで連携した先のデータまで対応可能だ。なお、Audience Managerでは、住所や携帯電話番号といった個人情報は保持しておらず、企業が管理するIDで属性情報をフラグ化。マーケットプレイスで共有する場合は、個人情報保護法に沿って情報を一般化するという。
データの利用については、セカンドパーティ、サードパーティにリクエストを送信し、承諾を得られれば利用が可能になる。しかし、日本ではまだセカンドパーティなどの概念が浸透していないため、データ利用については一度対面の打ち合わせ後に、データ連携することを推奨しているという。また、サードパーティで使いたいデータが見つからない場合などは、アドビ側がデータホルダーにマーケットプレイスへの参加などを調整するとしている。なお、データ自体はAdobe Audience Managerを普段から利用していれば、きちんと管理されるため、他社とのデータ連携自体はスムーズに実施できるとしている。
アドビの安西敬介氏(カスタマーソリューションズ統括本部プロダクトエバンジェリスト兼シニアコンサルタント)は、「消費者は自分に関係性の高い情報をリアルタイムで求めている。また、企業側は差別化要因がサービスから顧客体験に変わりつつある」とし、「企業から顧客にコミュニケーションするなかで、コンテキストの理解が重要になってくる」と指摘。コンテキストの理解には、サイト行動情報、過去の購買情報、クロスデバイス行動、属性情報が必要になってくるとしている。
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