ネットとリアルの両面から変える--「不動産業界のアマゾンを目指す」GA technologiesの挑戦 - (page 3)

業界の常識を覆す、顧客が社員になる「GA Gravity採用」とは

――不動産業界全体を変えていくイメージですね。

 不動産テックは、ネットとリアルの両方をベストプラクティスに持っていかないとだめなんです。ネットの環境だけではなく、リアルも同時に変えていかないといけないんですね。GA technologiesはその両方にコミットしてやってきたと思っています。

 その変化の一つは人事採用で、実は不動産会社出身の人の割合はかなり低く、前職は銀行や損保、コンサルティング会社などバラバラ。不動産は経験と勘に頼る部分が大きいと言われますが、不動産情報をデータベースとして持っていることで、経験者でなくとも営業ができる環境を整えました。

 採用に関しては、社員の知り合いを採用するリファラル採用を長年進めていますが、ここ最近は「GA Gravity」といって、お客様を採用する精度も積極的に取り入れています。

――お客様を社員として迎えるとは、不動産業界ではあまりないケースではないでしょうか。

 そうですね。実はCFOの渡辺(取締役CFOの渡辺正志氏)も、GA Gravity採用の2人目で、元々は私の顧客でした。同じ業界の方は特に驚かれる制度なのですが、不動産を購入できるということは、ある程度の所得があり仕事もできる。その親和性がまずあります。なおかつうちのサービスを使って買っていただいているので、エンゲージメントが高い。さらに顧客目線でサービスが作れる。もういいことづくめですね。

――5月には、中古マンションのクラウドファンディングサービスを開始することも発表されています。そちらも含めた今後の展開を教えてください。

 不動産テックは、日本で50~60社程度にとどまっていて、フィンテックなどに比べると参入企業は少ないですよね。その理由は、物件というリアルが介在するため参入障壁が高く、業界のしきたりが根強く残っているからです。

 この部分をネットとリアルの両方で変えていくこと、さらに情報の非対称性、トランザクションが少ない、購入者の知見がたまらない、テクノロジの遅れがあるなど、課題は明確です。その課題に対して、常に取り組んでいるのが私たちの強みだと思っています。

 こうした不動産業界の課題解決に取り組みつつ、将来的に目指すのはテックカンパニーなので、不動産同様レガシーな業界にテクノロジーを取り入れていきたいと考えています。例えば建設、金融や保険など不動産と親和性の高い業界で、テクノロジーが浸透していない分野はまだまだあります。不動産テックだけに取り組むのではなく、あらゆる場所にテクノロジーを取り入れて業界を変えていく。そんな企業になりたいと思っています。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

リマールエステート株式会社 代表取締役社長CEO 森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIRを統括するとともに、地方特化Jリートの上場に参画。太陽光発電パネルメーカーのCFOを経て、三菱商事合弁会社の太陽光ファンド運用会社の代表取締役社長に就任。クロージング実績は不動産と太陽光発電事業等を合わせて3,500億円以上にのぼる。 2016年に不動産テックに関するシステム開発やコンサル事業等を行なうリマールエステートを起業。日本初の不動産テック業界マップを発表するとともに、不動産テックに関するセミナーや研究会などを多数開催するほか、不動産企業やIT企業に対して様々なコンサルを提供。自社においても不動産売買仲介プラットフォーム「キマール」を開発するなど、日本における不動産テックの第一線で活動。2018年8月に設立される不動産テック協会の共同代表理事へ就任予定。 政治学修士と経営学修士(MBA)を取得後、コロンビア大学院(CIPA)、ニューヨーク大学院(NYUW)にて客員研究員を歴任。

 

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