――スクリーニングにはAIを使われているんですね。
AIにも積極的に取り組んでいて、不動産業界では初となる「AI戦略室」を2017年に立ち上げました。これもエンジニアを社内に抱えるのと同じ理由なのですが、社内に専任がいなければ、意味がないだろうと。AI戦略室は、ソニーのロボット犬「AIBO」の研究開発をしてきたメンバーや、リコーで画像処理技術に取り組んできたスタッフが参画してくれています。技術顧問は理化学研究所センター長の杉山将氏を迎えました。
こうしたメンバーがなぜGA technologiesに関わってくれるのかというと、リアルな不動産のデータを持っているからなんですね。これは、ウェブ上で物件の検索から購入、売買、管理までワンストップで提供できる中古不動産流通プラットフォーム「Renosy」を持っている強みだと思います。
――Renosyの具体的な内容を教えてください。
Renosyは物件カタログという立ち位置なので、現在売りに出されていない物件情報も掲載しています。東京の23区を例にとってみると、通常の不動産ポータルサイトには約6000件の情報が載っていますが、Renosyはその2.5倍にあたる1万5000件のデータを掲載しています。このメリットは、売りに出ていない物件の情報でも、成約事例や賃貸価格の動きを約10年間見られることにあります。
また、売りに出た時は通知がくる仕組みになっています。今までであればエージェントに売りに出された場合は連絡をくれるようお願いしていたと思いますが、それだと忘れられたり、担当が代わってしまったりすると、そこで情報が途切れてしまう。
こうした機会損失は、日本の不動産事業が分業制だから起こることで、一気通貫するプラットフォームを提供すれば、そのすべてをきちんと汲み取れるはずです。Renosyでは、価格推定から、物件検索、販売、管理、投資、クラウドファンディングまでをサポートします。さらに建設業の免許も持っているので、リノベーションまで請け負います。
――すべてを一気通貫でできることが、営業面でも人材獲得の意味でも大きな強みになるんですね。
私は、不動産業界のアマゾンになりたいと思っていて、アマゾンがやってない領域を全部やろうと思っています。アマゾンがなぜ不動産をできないかというと、高額な商品、宅建行法上の問題で、人手を介在しなければいけないからです。GA technologiesは宅建業の免許、建設業の免許はもちろん持っているし、エージェントが社員でいるので、リアルの物件も取り扱える。だからこそ、一気通貫ですべてできるんです。
この「すべてやる」という思いから、「Renosy Insight」という不動産投資家のためのアプリもリリースしました。不動産業界はアフターフォローが弱いビジネスと言われていて、その理由は、再三お伝えしている購入時に人を介在させなければいけないので、アフターフォローにまで人をアサインしてしまうと利益が上がらなくなってしまうんです。だからアフターフォローには人をおかない。
しかし、オーナーにとって見れば購入後からの運用が大事なわけで、その部分が弱いといつまでもエンゲージメントが上がりません。Renosy Insightでは、所有物件の資産情報がわかるポートフォリオ管理機能はもちろん、収支シミュレーション、キャッシュフロー管理などができるほか、契約書などの必要書類をクラウドで管理できます。
不動産の購入には多くの手間が生じます。必要書類も多いですし、書類に記入するだけでも時間がかかる。そうした手間はウェブ上でできたりデジタル化したりすることで軽減できます。そうしたストレスをなくすために取り組んでいるのが私たちの仕事です。
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