昨今、ほとんどのスマートフォンメーカーが苦戦を強いられている状態にあるが、そんな中、モバイル関連技術の世界最大規模の見本市である「Mobile World Congress」(MWC)が現地時間2月26日、バルセロナで開幕する。
もちろん、MWCは例年通り華やかで活気に満ちたものになるはずだ。MWCの主役になるのは、サムスンの「Galaxy S9」だろう。同社の次期フラッグシップスマートフォンであるGalaxy S9は、MWCの開幕直前に披露される予定だ。報道によると、それ以外にも、NokiaやBlackBerryといったかつての大企業を含む、さまざまな企業が携帯端末の発表を予定しているという。
しかし、そうした重要な製品発表が多数控えているにもかかわらず、前途には暗雲が垂れ込めている。
スマートフォンの需要が縮小しているのだ。市場調査企業IDCのデータによると、2017年第4四半期の出荷台数は4億350万台で、前年同期の4億3070万台から6.3%減少したという。一方、2017年通年の出荷台数はほぼ横ばいだった。ベンダーがますます多くの機能(いくつか例を挙げると、生体認証セキュリティやAI、デジタルアシスタントなど)を追加しているにもかかわらず、人々が、アップグレードするべき差し迫った必要性を見出さなくなっていることが、需要縮小の理由の1つと考えられる。
とはいえ、明るい側面もある。人々はスマートフォンのアップグレードを急いではいないかもしれないが、実際にアップグレードするときに、以前より若干多めの金額を進んで支払うようになっている。Strategy Analyticsのデータによると、2017年第4四半期、スマートフォンへの支出は過去最高の1200億ドル(約13兆円)に達した。
1社を除く全てのスマートフォンメーカーにとっては残念なことに、この売上高の半分以上(51%)はAppleが占めており、全てのライバルの合計よりも多かった。だが、Appleでさえも、全てがうまくいっているわけではない。直近の四半期には、「iPhone」の販売台数が前年同期比で1%減少した。
利益の大半を1社が独占する横ばいの市場は、参入している企業にとって厳しいものである。そして、MWCでは、スマートフォンメーカー各社が次に来る大物を求めて、さまざまなことを試みる傾向がますます強くなっている。次の大物とは、そのために消費者や企業がこれまでより速いペースで購入やアップグレードをするようになり、市場のリーダーたちの心配の種になるかもしれない技術革新のことだ。
テクノロジに関しては、多くの候補が存在するが、その中のどれが大きな成長を生むのかは、はっきりしない。本記事では、スマートフォンベンダー各社が答えを思い巡らすであろう5つの重要な疑問と、それらに対する筆者の見解を以下で紹介する。2018年のMWCが終わった後で、その答えがより明確になるものもあるかもしれない。
「Amazon Echo」やAppleの「HomePod」などのスマートスピーカは、スマートフォンから関心を奪ってしまうのだろうか。Amazonのデバイス(もちろん、Amazonは独自のスマートフォンを提供していない)の成功は、予想よりも早くアプリがスマートフォンから離れて、私たちの身の周りの世界へと移行し始めることを示唆しているのだろうか。IoTはスマートフォンを時代遅れの遺物にしてしまうのだろうか。短期的な答えはノーだが、長期的に見たら、そうなる可能性は高い。今後、ネットワーク企業はコネクテッドホームやスマートオフィスといった、スマートフォン以外のプラットフォームへの関心をますます強めていくだろう。そして、ネットワーク企業は、門番の役割を果たすスマートフォン企業と関係を持つことなく、新しい市場で成功を収めるかもしれない。
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