リターゲティング広告を主力事業とするCriteoは1月25日、2018年の事業戦略説明会を開催した。冒頭では、Criteoの日本および韓国を担当するマネージングディレクターであるグレース・フロム氏が挨拶。より幅広い顧客のニーズに応えるため、2018年は従来のリターゲティング広告に加えて、新たなプロダクトを投入していく方針を打ち出した。
続いて、Criteoの国内セールス部門統括コマーシャル・ディレクターである小野良一氏が登壇し、より具体的な戦略を説明した。2005年にフランスで創業した同社が2011年に日本に進出して7年目になる。小野氏は、「Criteoがリターゲティング広告市場そのものを牽引してきた自負がある」とする一方で、広告クライアントのニーズは多様化しており、それぞれに最適化したソリューションが求められていると話す。
そこで同社が掲げた2018年のビジョンが、「リターゲティングカンパニーからマルチプロダクトカンパニー」へのシフトだ。このビジョンを実現するために、(1)リターゲティング広告の精度をさらに上げる、(2)フルファネルに対してプロダクトラインアップを広げる、という大きく2つの施策を進めるという。
1つ目のリターゲティング広告の精度向上にむけては、「ヒト軸のマーケティング」と「モノ軸でのデータ分析」を取り入れるという。まず、ヒト軸のマーケティングについてだが、従来のクッキーベースのターゲティングでは、1人のユーザーであってもデバイスごとに別のユーザーとしてカウントされていたため、「1人なのに最大で15人として見られてしまっていた」と指摘。これをよりパーソナライズ化することで、たとえばAさんとBさんの行動を比較して類似性を見つけ、次の行動を予測するといったことも可能になると説明する。
モノ軸でのデータ分析では、たとえば小売事業者の商品そのものをカタログデータベース化して、ある商品を見ている人は他にどのようなものを見ているかという共通のモノ軸でデータ分析することで、親和性の高いリターゲティング広告を配信できるようになるとしている。
2つ目は、フルファネル向けのプロダクトラインアップの拡大について。従来のリターゲティング広告は、すでにサイトに訪問している見込み顧客をターゲットにしていたが、広告クライアントはそれに加えて、新規顧客や一度サイトに訪れて離れてしまった顧客に再訪問してほしいと考えていると説明する。そこで、2018年から新たに2つの新製品「Criteo Audience Match(クリテオ・オーディエンス・マッチ)」と「Criteo Customer Acquisition(クリテオ・カスタマー・アクイジション)」を日本市場に投入するという。
Audience Matchは、既存顧客を再訪問させるためのソリューションで1月から提供を開始している。広告クライアントが抱える顧客のメールアドレスを匿名データに加工することで、複数のブラウザの行動履歴を一貫して把握できる仕組み「ユニバーサルマッチ」と、広告クライアントのCRMやDMPデータを組み合わせて、顧客を正確にターゲティングできることが特徴だ。季節商品だけを買う人へアプローチするなど、さまざまな活用ができるがソリューションだが、特に休眠顧客の復活に強みがあるという。
同社のソリューション・スペシャリストであるアレクサンダー・キベッツ氏は、従来のCRMベースのマーケティングツールの課題として、メールの開封率の低さや、他媒体と自社データとのマッチ率の低さ、キャンペーンのセットアップがマニュアルであるといった点を挙げる。一方、Audience Matchなら、グローバル平均で業界最高レベルの60%のマッチ率を実現するほか、日本のウェブ利用者の約9割にリーチできるとアピールした。
Customer Acquisitionは、潜在的な新規顧客を特定するためのソリューション。広告クライアントのサイトに訪問した消費者の行動履歴を横断的に収集。続けて、業界やカテゴリレベルでこれらを分析し、Criteoのデータベースを活用して新規顧客を特定する。さらに、すべての消費者を広告目的にそってスコアリングし、もっとも購入する可能性が高い顧客に親和性が高い広告を配信するという。先行導入している英国のアパレルブランド「NEW LOOK」では、注文件数が4倍に増え、そのうちの新規顧客率は62%に及ぶなど、大きな効果が得られたという。日本では、2018年の下半期(7月以降)に提供する予定だ。
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