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日本と海外のウェブマーケティングは何が違う?--インフォキュービック山岸氏に聞く - (page 3)

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世界のどこで商品が売れるかを予測できる人はいない

――おっしゃる通り、日本企業の海外展開は特定の国や地域に先入観でフォーカスを当ててしまう傾向がありますね。どこにビジネスのブルーオーシャンがあるかを広く浅く探る必要があるということですね。

 確かに事前にターゲットを決めて一点集中することも大切ですが、広く浅くオポチュニティを探るほうが効率は良いと思います。世界のどこで自分たちの商品が売れるかを予め予測できる人はいません。それを探るためにも広い視野でテストマーケティングをする必要があるのです。

 例えば、私たちの企業サイトを英語で海外展開した際も、最初は「絶対に米国から引き合いがあるはずだ」と考えてネット広告を出しました。しかし、実際にはあまり問い合わせはきませんでした。そこで全世界の英語圏に広告を展開したところ、インドではリーチ数は多いけれど誰も問い合わせしてくれない。そして、最も問い合わせが多かったのは、イギリスやスイス、ドイツなど欧州各国でした。こうした発見も実際にやってみなければ得られないのです。

――ウェブマーケティングはプロモーションと同義で語られる場合が多いですが、実はその前段階ではどこにニーズがあるのかを探るという意味のマーケティングが存在します。その点を重視していることですね。

 そうですね。企業の中には展開する国や地域を指定して取り組むケースもありますが、中にはこれから海外戦略の足掛かりを探りたいという企業も数多く存在します。そうした企業に対して広告的な観点からどのようなアプローチが最適かをコンサルティングする場合も多いです。日本国内のマーケティングでは投下するコストに対する費用対効果を考えていればいいですが、海外向けのマーケティングとなるとそんなシンプルな話ではありません。海外でビジネスを展開するとはどういうことなのかということを考える必要があると思います。

――海外展開は企業にとっては社運を懸けるほど大きなことですし、特に大手企業の場合には海外展開して失敗するとそれだけでニュースになる。それだけ重要なテーマなんだということを認識して取り組む必要がありますね。

 ギャンブル的に投資をして市場を取りに行くというアプローチも確かにありますが、大事なのは、まず細く長く海外ビジネスを展開できる足場を作ることだと思うのです。国内需要の未来が決して明るくない状況で、遅かれ早かれ日本の企業はグローバルのスケールメリットや急成長する新興国の消費パワーを頼りにビジネスを展開する時代がやってきます。そのための準備を今からしておく必要があるのではないでしょうか。その上で、ウェブマーケティングの特性を生かして小さい投資でフットワーク軽くアクションに移していくことが大事なのです。


「グローバル展開が不可避な時代になる前に足場づくりを」と山岸氏

 昨今、主にアジア各国から日本へのインバウンド需要が注目されていますが、実は海外の情報ニーズに対して日本の企業が外国語で発信している情報が圧倒的に足りていません。それは非常にもったいないことだと思います。このままアジア各国が発展すると日本が取り残される可能性も否定できません。世界が日本の情報を欲している今の段階で、そのニーズに応えない理由はないのではないでしょうか。

――いま日本経済ではグローバル化への課題意識が高まっている一方で、実際のアクションには二の足を踏んでいる企業は少なくありません。

 そうですね。いま、日本の企業が既存の商品に少しの工夫を加えて海外に展開することと、需要低下の中で競合がひしめく日本国内向けに新商品を開発すること、どちらが大変でしょうか。既存のアセットを生かして、まずは海外の反響を探ってみようと一歩を踏み出せる企業のほうが、成長のきっかけを掴めるのではないでしょうか。また、コモディティ化が進んでいる領域でコスト勝負を仕掛けると日本は既存のグローバル企業に勝つことはできません。そこで企業が少しの工夫やアイデアで独自性のある商品を生み出せば、約30億という世界のインターネット人口を相手にスケールメリットを生み出せるのではないかと思います。

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