Sansan、名刺アプリ「Eight」に企業ページを展開--人材採用や広告配信サービスも

　Sansanは6月22日、個人向け名刺管理サービス「Eight」「Eight」の次期バージョンにおいて、「企業ページ」をリリースすると発表。この企業ページを通じて人材採用や広告ソリューションの提供を開始する。開始時期は6月末を予定し、価格は未定。

「企業ページ」ならびに人材採用や広告ソリューションの提供を開始する

　Eightは、2012年にサービスを開始したSansanの個人向け名刺アプリで、名刺情報を正確にデータベース化し、管理ができるというもの。その後、フィードやグループメッセージといったユーザーのコミュニケーションを促進する機能を搭載するなどして利用者を拡大してきた。現在の利用登録者は150万人、名刺の取り込み枚数は年間で1億枚以上という。

　今回実装される企業ページは無料で開設でき、ユーザーは気になる企業をフォローすることにより、広報やマーケティング、採用担当者が発信するコンテンツを、Eightのフィードで受信できるようになる。企業側としては、新製品のリリース情報や採用コンテンツなど、ビジネスにまつわるさまざまな情報をフォロワーに届けることができる。企業ページの機能をリリースするタイミングにあわせて、日産自動車、岡村製作所、サイバーエージェント、サイボウズ、ランサーズなどの約10社が先行企業として企業ページを開設予定としている。

企業ページイメージ

　この企業ページの有料オプションとして、Eightユーザーに採用担当者が直接スカウトメッセージを送れるダイレクトリクルーティング・サービス「Eight Talent Solution」を提供する。Eightでは転職などによる名刺のアップデート情報は、1日あたり約500件程度あるとし、これらの情報をもとにAIが分析。その会社に最適と思われる転職候補者をリコメンドするというもの。なおユーザー側においては、リクルーティングのメッセージを拒否する機能も設けるという。

転職候補者をリコメンド。その候補者に向けてメッセージを送ることができる

　もう一つの有料サービスとなる広告配信の「Eight Ads」は、BtoB商材に最適なターゲティング広告として提供するもの。Eightのアクセス時間のピークタイムは、おおむね8時から18時と、多くの人がビジネスに意識が向いている時間と重なっており、投稿内容もビジネスに関わるものが多いことからBtoB商材を訴求する場として、高い効果が期待できるとうたう。また、Eight上に登録されている企業情報は、帝国データバンクが持つ企業情報と連携しており、このデータと名刺データを活用し、事業戦略の意図にあったきめ細やかなターゲティング設計が可能としている。

　また広告資料を請求する場合では、従来の問い合わせフォームにおける入力の煩雑さを省き、名刺データのプロフィール情報を使って簡単に資料請求や問い合わせができるようにするという。

広告ソリューションとなる「Eight Ads」

Sansan取締役 Eight事業部長の塩見賢治氏（左）と、Eight事業部チーフプロデューサーの千住洋氏（右）

　今回の企業ページならびに関連サービスの提供について、Sansan取締役 Eight事業部長の塩見賢治氏は、現代はあらゆる情報が氾濫している時代だとし、ビジネスにおける情報がすぐに埋もれてしまいがちであり、ユーザーにとって必要な情報を効率的に入手することが求められていること。また企業にとっても、自社が発信するコンテンツを確実にビジネスパーソンへと届けられる方法が求められていることが背景にあるとした。加えてユーザーにとっての転職活動の煩雑さ、企業にとっての求めている人材とを適切につなぐものが不足していると説明。「これらを解決するには、個人のつながりでは限界があり、人と企業の繋がりを構築するのが最適」と語った。

　 　今後については、ユーザーの行動を多角的に分析できる機能など、企業ページにおける拡張機能を提供予定。ほかにも、メディア企業向けとした公式メディアページの開発も進めているという。「ビジネスを後押しするプラットフォームとして、ビジネスのコミュニケーションをもっとシンプルにしていく」（塩見氏）と語った。