音質を別にすれば、HomePodがEchoと張り合うためにやらなければならないことは、山ほどある。数年の間にEchoのサードパーティー製スキルの数は1万以上に達している。基本的にスキルとは、ピザの注文からタクシーの手配まで、あらゆる機能をEchoで実現するためのアプリのことだ。
さらに、常時オンのEchoはスマートホームに大変革を起こした。Echoが登場するまで、ファミリー向けのコネクテッドホームをセットアップするのは、悪夢のような作業だった。さまざまな種類の端末を制御するのに、複数のアプリを取っ換え引っ換えしなければならないことも多かった。それらのアプリに家族のメンバーを追加するのも、面倒な作業だった。
Echoによって、制御がシンプルになった。Echoのアシスタント「Alexa」に話しかけて、「Alexa、リビングルームの照明を消して」と伝えれば、それで済むようになった。家族の誰もが、権限やアプリを取っ換え引っ換えしなくても、多数の対応製品を制御することができるようになった。ユーザーは、Echoが音声を認識できる範囲内にいるだけでいい。
Appleは、「Siri」やスマートホームと連携する「HomeKit」というスマートホームプラットフォームを既に確立している。理論上、そのプラットフォームを利用することで、HomePodはコネクテッドデバイスの制御をすぐに開始できるはずだが、AmazonはAlexaとEchoの機能を拡張し続けている。現在のところ、Amazonの対応製品リストの方が、Appleのそれよりはるかに秀でている。
開発者もHomeKitを扱うために、特別な手順を踏まなければならない。具体的には、全てのHomeKit端末はセキュリティ上の理由から、Appleによる「MFi」認証チップを搭載することが義務付けられている。この要件のせいで、AugustやEcobeeといった大手スマートホーム開発企業は、自社端末のHomeKit専用版を開発することを余儀なくされた。小規模な開発企業にとっては、この要件が参入の障壁となる可能性もある。
ひとたび端末がHomeKitと連携するようになれば、HomeKitは非常に快適に動作する。さらに、先述した追加のセキュリティ対策は、一部のスマートホームユーザーに安心感をもたらす可能性もある。HomeKitはカスタマイズ可能な「シーン」によって、Echoより柔軟性の高いコマンドにも対応する。シーンでは、AppleのデジタルアシスタントSiriに「おやすみ」などと伝えると、HomeKitが照明を消して、ドアを施錠し、室温をユーザーの好みの就寝時の温度に設定してくれる。HomePodはおそらく最初からシーンとの完全な互換性を提供するはずだ。
HomePodは最終的にスマートホームでEchoに勝つ可能性もあるが、総合的な機能性に関して言えば、Echoとの差は大きい。
HomePodが発売される頃には、Amazon Echoに対するGoogleからの応酬ともいえるGoogle Homeも、独自のシーン機能を備えているはずだ(Googleはこの機能を「ショートカット」と呼んでいる)。Google Homeに組み込まれた「Google Assistant」はAlexaよりも柔軟にコマンドに応答する。さらに、登場から数カ月の間に、全体的な汎用性という点でAlexaに追いついた。
AppleとHomePodと同様、GoogleもGoogle Homeを最初に発表したとき、スマートホームでEchoと直接競合する製品として宣伝することは避けた。GoogleはGoogle Homeをエンターテインメントハブとして位置付けた。Googleはその分野ではまだ優位に立っている。テレビにChromecastが内蔵されている場合、あるいは、テレビにChromecastストリーマーが接続されている場合、Google Homeでテレビを制御できるからだ。
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