長年にわたり世界中の人々に親しまれているファストフードチェーン「マクドナルド」。ハンバーガーを注文する際に、店頭でモバイルクーポンを提示した経験がある人も多いだろう。マクドナルドはこのクーポンを筆頭に、数多くのユニークなデジタルマーケティング施策を打ち出してきた。
「“ファンプレイス・トゥ・ゴー”という言葉にすべてが集約されているが、お客様のマクドナルドの体験はあくまでも店舗で起きている。お客様にとって(マクドナルドが)ファンプレイスになるようなコミュニケーションをデジタルによって実現している」――日本マクドナルド デジタル部 上席部長の渡邉英右氏は、同社にとってのデジタルの役割をこのように語る。
マクドナルドでは、顧客の「来店前」「来店中」「来店後」で、それぞれ異なるデジタル施策を展開している。まず、来店前はお得なクーポン情報を配信したり、SNSで情報発信するなどして顧客に来店を促す。そして来店中の顧客には、2016年6月から「マクドナルドFREE Wi-Fi」(約1800店舗が対応)を提供しており、誰でも無料でWi-Fiを利用できるようにしている。お金がなく通信量を気にする学生などには嬉しい施策だ。
さらに、インターネット環境に加えて、来店者がマクドナルドで過ごす時間をより楽しめるようなコンテンツも用意している。2016年11月から、マクドナルドFREE Wi-Fiに接続して動画配信サービス「Netflix」のアプリにアクセスすると、通常は有料のオリジナル作品を一部無料で視聴できるサービスを提供。また2017年3月末からは、マクドナルドFREE Wi-Fiの利用者向けに音楽聞き放題サービス「AWA」の独占先行配信を開始した。
そのほか、ハンバーガーの包み紙などに印刷されているQRコードをスマートフォンで読み取ると、その商品の原産国やアレルギー、栄養の情報などを確認できる。さらに、2月からはNTTドコモの「dポイント」に対応。貯まったdポイントを、全国のマクドナルドでの食事やdポイント加盟店での買い物、ドコモの携帯電話料金の支払いなどに利用できるようにした。
そして来店後には、顧客が店舗を評価できるアンケートアプリ「KODO(鼓動)」を利用してもらう。顧客は、商品の提供スピードや応対などいくつかの質問に対して5段階評価で答え、「客席が多い」「フロアが汚い」などの自由記述で意見を送ることで、謝礼としてクーポンを受け取れる。同社では従来、覆面調査などを通じて各店舗を評価していたが、2015年4月から同アプリの提供を開始。これまでに500万件もの意見が寄せられているという。
アプリを通じて届いた顧客の声は、本社だけでなくその顧客が評価した店舗にも送られるため、店長はクルールームや客席エリアにそれらの意見を掲出して改善を図っているという。過去には、「客席が埋まると荷物を置くスペースがない」という意見から荷物かごを設置したり、「Wi-Fiがつながらない」という意見から電波が弱いエリアにモバイルアンテナを増設したりと、意見に応じて改善につなげてきたそうだ。
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