マーケティングの真髄は「分断されたデータ統合」--アクティブコアの山田社長 - (page 3)

――今後はどういった分野に力を入れますか。

 「こういうケースはこういう風にしたい」といったユーザーからの要望に個別で対応し、対応した機能の標準化を進めていきます。システムも万能ではないので、レポートとして出力するグラフの表示まで要望をいただくことがあります。我々でも何パターンかは用意してますが、「部長が見る場合は、見出しがこうじゃないと分からない」など、できるだけカスタマイズして希望に合うようにしています。

――AIに関してはいかがですか。

 すでに一部で取り組んでいます。AIを使うことで、それぞれの顧客がコンバージョンする時間帯にあわせてのメール配信も可能です。コンバージョンデータがない顧客は閲覧時間や開封時間といったアクティビティの傾向を抽出し、システムで自動判定します。メール担当者は、配信日だけ決めることで、あとはシステムが配信タイミングなどを自動的に最適にして配信していきます。メールの内容も顧客ごとに変更できますし、配信したメールからデータが得られるので、精度も上がります。これは、管理画面上で「最適化」というボタンを押すだけです。

 レコメンドの改善も次の課題です。初回購入した顧客だけに出すレコメンドや、とある商品を購入した顧客専用のレコメンド、金額によってレコメンドの内容を変えるなどたくさん要望をいただきます。「この顧客にはこのレコメンドを表示する」といったところでディープラーニングを活用し、コンバージョン率を上げられると思います。ユーザーからは手間なく成果を上げたいという声もありますので、MAのシナリオについて「次はこのシナリオが良い」と提案してくれるレコメンド機能を考えています。

――デジタルマーケティングに対して認識を変化させる企業は増えてきたのではないでしょうか。

 たしかに認識が変わってきました。ときどき、MAを導入するとすぐに売上が上がると思っているユーザーがいらっしゃいます。確かに売上は一瞬良くなりますが、どこかで高止まりします。一方で、ここを理解しているユーザーも増えてきました。先を見据えて市場を広げていかないと頭打ちになると感じているマネージャー層は増えています。

 ただし、基本的にはMAというとメールの発射台として認識されている感じが若干あります。海外ベンダーも、マーケティングを回していくためのオートマチックエンジンと訴求していますが、去年あたりに導入したユーザーからは「きちんと利用しよう」と気づくところと、「メールASPを拡張しただけ」の認識のところに分かれています。

 ただ、何も手を打たないわけにもいかないので我々に相談したというケースも増えており、そこでメールの発射台から認識を改めるユーザーも多いです。我々はレコメンドエンジンを持っているので、MAと組み合わせたいというユーザーからの相談もあります。また、結構多いパターンとして、当初はMAとレコメンドを実装する案件だったものの、データベースがきちんと整備されておらず、レコメンドもMAも実装できないため、結果的に最初のデータ統合から手掛けるケースですね。

――簡便なUIでAIも活用され、どんどんマーケティングの手間がなくなってくると、営業担当の方でも使えるようになりますね。

 顧客に近い方で抵抗がなければ、マーケティング領域でも活躍できる時代になるのではないでしょうか。ITに精通している人が顧客寄りになるのか、もともと顧客とコミュニケーションする側だった人がツールをマスターするのか。実際のユーザーを見ていて思うのですが、コミュニケ―ションできる人の方がツールを使いこなせる気がしますし、売り上げも上がるでしょう。

 米国では、MAツールを武器に企業を渡り歩くプロのマーケターがいますが、日本でも同様のことが起こると思います。あとは、会社やブランドが好きであったり、顧客が好きで、MAを使って売り上げを最大化するうちにプロになるパターンもあると思います。アルゴリズムを知らなくても関係なく、「こういう人にこれを出したら受け入れられる」といった感覚が分かる人の方が結果が出ると思います。マーケティングノウハウを得た営業の人が最前線に立つでしょう。

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