ところが、最近はその3本脚がたった1本、iPhoneだけになった。その1本に陰りが見えつつある。Appleが10月25日に発表した第4四半期のiPhone販売台数は4550万台で、前年同期の4800万台から5%の減少となった。販売台数の前年割れは、これで3四半期連続だ。一方、iPadの販売台数は11四半期連続で下がり続けており、売り上げに占める比率は10%を下回った。
だが、MacはPC市場全体が停滞するなかで、かなり善戦している。たとえば、2015年の新学期シーズンは570万台という記録的な販売台数となり、前年比3.4%の増加となった。一方、Mac以外のPC市場はこのとき7.7%減少している(Gartner調べ)。これはちょうど、MicrosoftがPC販売の復活を期して「Windows 10」ソフトウェアを市場に送り出した時期だ。
Gartnerによると、現在Appleは世界第5位のPCメーカーであり、全世界での市場シェアはおよそ8%だという。だが、PC業界の利益を見てみると、少なくともその半分をMacが占めている。これはAppleが高めの価格を設定しているからだ。AsymcoのアナリストHorace Dediu氏は、Macの購入価格が平均1200ドル~1300ドルであるのに対し、Windows PCの場合は約400ドルだと述べる。「Appleにとってはどれも非常に良い話だ」(Dediu氏)
要するに、Appleは「全体のパイが縮小するなかで、取り分をどんどん増やしている」。Dediu氏はこう付け加えた。
Schiller氏とFederighi氏は、Appleのノートブックがあと四半世紀は存続すると確信している。「ノートブックという概念、つまり卓上の平面に入力装置があり、それと垂直にスクリーンがあるという形態が、これまで25年間、意味を持ち続けてきた。当社が見る限り、この基本的なノートブックアーキテクチャには今後も存在価値がある」(Schiller氏)
だが別の目で見れば、コンピューティングの未来はそもそもコンピュータですらないという可能性もある。仮想現実やホログラムかもしれないし、どんなモニターにも差し込める「スティック」型のPCかもしれない。今はまだ想像もつかない別の形になることも考えられる。それが現実になったとき、われわれが知っているMacはもう存在していない可能性もある。Appleはそんな未来を恐れていないし、自社製品を破壊的に変革することも恐れていないという。もちろんそれは、Appleが破壊する側に立つ限りということだ。
おそらく同社はその側に立つことになるのだろう。
とはいえAppleは、熱狂的なユーザーベースであるクリエイティブ層が離反し、MicrosoftのWindowsソフトウェアを搭載したPCやタブレットに乗り換えるという事態は憂慮しなければならない。「Appleは過去4年間アップデートを行っておらず、その間は間違いなく顧客を置き去りにしてきた。今になって追いつこうとしている」。こう語るのは、Microsoftデバイスのマーケティング担当バイスプレジデントBrian Hall氏だ。
いかにもMicrosoftが言いそうなことだろう。だが、一部のクリエイティブ層からは実際に、Appleのアップグレードのペースが遅いのでMacを使わなくなったという声が届いている。サンフランシスコのビデオ制作会社Dawnrunnerは、以前はMacBook Proとデスクトップの「Mac Pro」を使っていたが、6年前にDellのPCに乗り換えた。CEOのJames Fox氏は、「できるだけ強力で機敏に動くマシンが必要だ」と述べる。DawnrunnerにとってMacは、製品レベルのビデオを高速で処理するには不十分だったのだ。
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