新型の15インチMacBook Proは、まさにFox氏のようなユーザーにアピールすることを目指している。グラフィック処理が高速化しており、5Kのモニターを2台同時に使用できる。この機能は、Appleによればノートブックで初のものだという。だが、他のPCメーカーがハイエンドのユーザー向けにすでに提供しているものが、やはり足りない。画質の向上につながるOLEDスクリーンなどだ。
Fox氏は、これまでもアップデートのたびに行ってきたように、今回の新型も評価してみて、チームがAppleに戻るべきかどうか検討する予定だという。「何か画期的な機能が実装されていたら、乗り換えなければならない」と語るFox氏だが、「私の直感では、そこまで強力になっているとは思えない」とも述べている。
クリエイティブ層のなかにも、Macがお気に入りという人はいる。たとえば、ラッパーのT-Pain氏は4年前の15インチMacBook Proを使っており、メモリとストレージの増設という強化を施して、動画編集や作曲に利用している。MacBookこそが「コンピュータ」だという同氏は、作品を保護するために「Touch ID」のような機能は歓迎だと述べる。だが、そのT-Pain氏も、強化済みのMacBookから新型に完全に移行する考えはないという。
「今のコンピュータで非常に多くのことができる」(T-Pain氏)
インタビューの終わり近くになって、Schiller氏の話は、CNETの最初の質問に戻った。なぜMacにはまだ存在意義があるのか、新しい設計を製品化するまでにこれほど時間がかかったのはなぜか、という質問だ。
Schiller氏は次のように述べた。「MacBook Proの進化を止めたくなかった。当社はこれを非常に大きな前進ととらえている。これは新しいシステムアーキテクチャであり、今後登場する多くのもの、今はまだ想像もできないものを作り出すことができる」
この発言は、すっかり本音というわけではないかもしれない。Ive氏はCNETに対し、同氏とそのチームはこれまで20年以上を費やして、新しいデザインのたびにひとつひとつを学び、積み重ねてきたと語った。その過程で、陽極酸化処理や仕上げを試し、アルミニウム(Ive氏が新製品を紹介する動画を見たことがある人なら、同氏の独特の発音をご存じだろう)を超える新素材も研究してきた。もちろん、Apple製品の新しい操作方法についても同様で、その1つがTouch Barだ。
「(Touch Barという)方向性に、それをベースとして使うことに、われわれ全員が深く納得している。非常に興味深い方向性の始まりとも感じているが、あくまでも始まりにすぎない」(Ive氏)
それが、何の始まりなのか、Ive氏は明言しようとはしなかった。
同氏は笑いながらこう語る。「当社が今進めていることを詳しく話さないと、説明は難しい。それについてはあまり話したくない」
では、Macにはまだ存在意義があるのだろうか。
その答えはMacBook Proのストーリーをどう読み解くかによって変わる。Appleは同社製の過去最高のノートブックだと主張している。その主張に世界が同意するかどうか、答えが出るのはこれからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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