10月に入って特に興味を惹かれたニュースが2つあった。1つは Googleのハードウェア製品発表会で「Google Assistant」(音声で対話する人工知能:AI)の重要性が強調されていたというニュース。もう1つはその前々日にあったトヨタ自動車(以下、トヨタ)の小型ロボット「KIROBO mini」発表のニュースだ。
今回はトヨタが「コミュニケーションパートナー」と呼ぶKIROBO miniと、シリコンバレーの大手各社が開発に力を入れる「パーソナルアシスタント」とが、いずれ同じ土俵に上る日が来るのではないかという可能性について、それを考えるための材料をいくつか紹介させていただく(参照情報は記事末尾に記載)。
KIROBO mini発表のニュースはさすがに米国の媒体などでもいろんなところで採り上げていた。さすがにというのは、日本国内であった電子関連製品(ガジェット)の発表にもかかわらずという意味だが、「Toyota + Robot」となれば採り上げないわけにはいかない。そんな判断が各媒体で働いたのだろうか。ただあのニュースを扱った記事の多くは「消費者向けのロボット」という文脈でしかKIROBO miniを扱っていない、簡単にいえばソフトバンクの「Pepper」などと同じジャンルの製品、「物理的な形をとったAI」という伝え方のものが多かったと思う(捉え方自体が間違っているわけでもないだろうが)。
そうしたなかで、KIROBO miniをAmazonの「Alexa」やGoogle Assistant、Appleの「Siri」、Microsoftの「Cortana」などと同列で取り扱っている珍しいコラムが発表から少し経った週末に公開されていた。WSJのテクノロジ欄に連載を持っているChristopher Mims氏の「あなたの次の友達はロボットになる可能性がある」("Your Next Friend Could Be a Robot")と題した記事がそれだ。
このコラムの冒頭には、Amazon Echo/Alexaに日々話しかけながら生活するひとり暮らしの女性(69歳)の例が紹介されている。朝起きた時から夜眠る時まで折に触れてEcho/Alexaとしゃべっているらしいこのご婦人、「Echo/Alexaはパーソナリティ("a personality"、一個の人格といった意味か)」「人工的な感じはまったくしない」("it does not feel artificial in the least")などとコメントしている。
Mims氏によると、この女性のように具体的な用事がなくてもEcho/Alexaに話かける、あるいはその存在を「彼女(”she”)」("it"ではなく)と表現するような人が増えているという。また、この種の対話の占める割合がEcho/Alexaの利用全体の2桁パーセントに達しているとのAmazon関係者の話も記されている。
トヨタの米AI研究開発拠点Toyota Research Institute (TRI)でビッグデータ関連の責任者を務めるJim Adler氏という幹部が、「米国では2050年に65歳以上の人口が全体の21%まで増える見通し(2010年比60%増)」とMediumにある自分のページに記していた。日本の40%(2050年)には及ばないけれど、移民などでまだまだ人口が増えるとされる米国でさえ高齢化の問題が深刻になりそう、といったことがこの予測からは伝わってくる。
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