安倍晋三首相は漫画に出てくるような赤い帽子を掲げ、2020年開催の次期夏季五輪がどのようなものになるのかに向けて期待を込めた。
2016年リオデジャネイロ五輪が現地時間8月21日に閉幕したとき、安倍首相は任天堂の人気ビデオゲームの主人公マリオに扮してリオからバトンを受け継ぎ、2020年東京五輪へのカウントダウンを正式に開始した。安倍首相がさらなるハイテク化に前向きであることから、東京五輪を象徴する技術革新の1つは自動運転タクシーになるかもしれない。
タイミングも申し分ない。前回の1964年東京五輪が開催されたとき、日本は戦後の不安の中にあったが、五輪が運命の分かれ目となった。日本はスポーツの分野で成功を収め、東京は主要な高速道路や新幹線を敷設して交通インフラを刷新。また、中産階級が増加し、テレビなどの電化製品を購入するようになった。「オリンピック景気」という言葉を生んだ現象だ。
2016年に話を戻そう。日本は再び経済が低迷している。東京五輪が今回も日本を救うのかどうかは、経済学者の間で意見が分かれるところだ。しかし、今から2020年までの間に登場するさまざまな技術や、日本政府がロボット工学への大規模投資を約束していることを考えると、明るい材料は多いと言える。
「1964年の東京五輪では、五輪が産業の枠を越えた変化を引き起こす極めて強力な要因になり得ることが証明された」。ディー・エヌ・エー(DeNA)でグローバルコミュニケーションを統括する秋山知之氏はこのように述べる。DeNAは、東京の街を走る自動運転タクシーという構想の実現を担う企業の1社だ。このプロジェクトは「ロボットタクシー」として知られている。
安倍首相は2015年11月、無人自動走行による移動サービスの実現を支援する考えを表明した。秋山氏によると、日本政府は「非常に協力的」だという。今問題なのは、2020年の日本における自動運転タクシーが、1964年の日本における新幹線と同じものになり得るかということだ。
「現在の交通インフラは1964年東京五輪の頃に作られたものだ。次回の2020年東京五輪は、日本の産業が団結して巨大な変化を引き起こす絶好の機会、十分な理由になると考えている」。秋山氏は米CNETに対し、DeNAの東京本社でこう語った。
晴れ渡った日には、代々木公園の北にそびえる新宿の超高層ビル群も見渡せる。DeNAは恵まれた環境にあるようだ。同社は非常に洗練されたソフトウェアを精力的に開発しており、それらが近年、日本から発信されている。任天堂のソーシャルネットワーク「Miitomo」もその1つで、今ではロボットタクシーのサービスと運用に関する開発も手がけている。
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