logo

アップルのプライバシー対策--機能強化との両立を図る「Differential Privacy」 - (page 2)

Alison Vayne (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年06月23日 07時30分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Appleが考えるプライバシーの差別化

 「Differential Privacy」は、Appleが考え出したものではない。1960年代から存在するテクノロジだ。この種のソフトウェアは基本的に、アクセスされるデータに「ノイズ」、つまりランダムな情報を付加する。

 たとえば、オンスクリーンキーボードと、その「QuickType」機能を見てみよう。QuickTypeは、入力時にスペルミスを修正し、言葉を提案してくれる機能だ。Differential Privacyを使うと、Appleはユーザーが入力する情報をデバイスから収集するが、同社のコンピュータシステムに転送されるときにノイズが注入されるため、使われた正確な言葉はわからない。この情報がAppleに届くと、他の膨大な数の応答と混ぜ合わされ、よく使われている新しい言葉、たとえば「スポーツジムの会費」を意味する「Gymbership」のような新語があるかどうか監視される。新語が見つかった場合、AppleはそれをQuickTypeの辞書に登録し、ユーザーのデバイスに送信することができる。そのため、次に「That gymbership costs way too much!(あのジムの会費は高過ぎる)」と書くときには、入力を支援してくれるようになるという仕組みだ。

 人によっては小さな違いかもしれないが、専門家の見方は異なる。この種のデータ収集を適切に実行できれば、ユーザーやその家族について、そしてウェブ上でのすべての活動についてのあらゆる情報を利用して構築された最新のテクノロジと、同様のものを生み出せる可能性があるという。

 「The Algorithmic Foundations of Differential Privacy」の共著者であり、このテクノロジについてAppleと議論したAaron Roth教授は、次のように述べている。「個々人について具体的な情報を集めることなく、ある集団に関する統計情報を収集しようとするツールだ」

 この新しいプライバシー機能の実装が予定されているのは、iOS 10のQuickTypeキーボード、新しい絵文字、「Spotlight」検索機能などだ。このほか、辞書定義や「iTunes Store」のアイテム、Wikipediaの項目を検索する「LookUp」機能にも追加される。他のアプリも、いずれその恩恵を受けるかもしれない。

 人工知能を手がけるスタートアップ企業Snipsの最高経営責任者(CEO)を務めるRand Hindi氏によると、このシステムはクラウドにデータを保存するGoogleやFacebookの典型的なアプローチより安全だという。

 「大半の人にとっては、直観的に理解できないものだろう。インテリジェントなシステムやデータに基づく高度なシステムを実現するには、データを差し出すしかないと、長年言われ続けてきたからだ」(Hindi氏)

 プライバシーとデータに対する新しいアプローチを試みているのは、Appleだけではない。Googleは2014年、「Randomized Aggregatable Privacy-Preserving Ordinal Response」(RAPPOR)という新しいソフトウェアを発表した。これはChromeブラウザだけで使われている技術で、ユーザーがホームページとして使うページを解析して、コンピュータの乗っ取りを謀るマルウェアやウイルスを取り締まろうとするものだ。

 Hindi氏の企業Snipsも、ユーザーのデータを秘密にしておくことを試みている。だが、Differential Privacyが効果を発揮するには、大規模なユーザー数が必要だ。そうなると、今のところAppleや、Chromeの機能を利用するGoogleは、このテクノロジが実現可能であるということの証明に貢献していると言える。

 「大切なのは、うまくやっている人もいるということだ」(Hindi氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]