前回、半導体メーカーなどでの大量レイオフについて書いたが、レイオフが行われているのは大手だけではない。
シリコンバレーでは、2016年第1四半期、3000人以上が職を失い、前年同時期に比べてその数は倍増した。これには、大手メーカーのほかYahooなども含まれているが、スタートアップなど小規模事業者のレイオフ数は含まれておらず、実際の数はもっと多い。
創業10年の電子カルテのPractice Fusionでは、全従業員の25%にあたる74人をレイオフした。2017年にIPOを予定していると言われていたが、身売り先を探していると噂されている。
2012年に企業価値10億ドル以上の「ユニコーン」の仲間入りをしたEvernoteも、一時は20億ドルの評価がつき、数年前から「IPOはいつか」と言われてきたが、2015年秋に全従業員の12%にあたる47人のクビを切り、海外の拠点3か所を閉鎖した。
やはりユニコーンのウェアラブル活動量計メーカー、Jawboneは60人をレイオフし、ニューヨーク事務所を閉鎖した。活動量計の製造をやめ、資金調達のため在庫を処分したとも言われている。
その他、スマートウォッチのPebble、GoPro、Optimizely、Shyp、Mixpanelなども、2016年に入ってレイオフを行っている。
レイオフが行われているのはシリコンバレーだけではない。2011年にIPOを行ったGrouponは、2015年秋に7カ国から撤退し、1100人のレイオフを行った。公開価格20ドルだった株価は、今では4ドルを切っている。一時はGrouponと競い、Amazonも出資しているLivingSocialは、2015年の200人に次ぎ、2016年に入ってさらに全従業員の56%にあたる280人をレイオフ。アリゾナのコールセンターを閉鎖した。同社は2013年までに900万ドル以上の資金を調達したが、その後、資金調達は行われていない。
2015年、米市場に威勢よく乗り込んだインドのZomatoも2015年秋に10%にあたる300人をレイオフ。米国を含む9市場から撤退してインドからの遠隔運営に切り替えた。インドのスタートアップ企業は米国よりもっと大変な状態なのだが、後日、報告したい。
スタートアップのレイオフや事業縮小が相次いでいるのは、2015年後半からVC資金調達が困難となったため、資金温存のために経費を削減するのが狙いだ。
資金調達ができずに、すでに消えてしまったスタートアップもある。過去数年、シェアリングエコノミーブームでシェア型ビジネスが雨後のたけのこのように生まれたが、子供の送迎をシェアし「子供向けUber」と呼ばれたShuddleは、過去2年、1200万ドルを調達したものの、2015年以降はさらなる資金調達ができず、2016年に廃業した。
2015年のVC投資額は、ITバブルが頂点に達した2000年に次いで米史上第二の額に達したものの、IT企業への投資額は第4四半期は168社に対し81億ドルと、第3四半期の対223社135億ドルに比べ4割減となった。投資額は、2016年に入りさらに減少している。
これまで「会社を成長させるためなら、投資資金はいとわない」という風潮だったのが、「黒字転換への道筋を示せなければ、これ以上資金は出さない」に変わっているのだ。VCの間では「次のFacebookに乗り遅れるなという恐れが、投資資金が返って来ずに損をするかもしれないという恐怖に変わった」とも言われている。
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