Appleにとっての問題は、ユーザーがスマートフォンにそれほど大騒ぎしなくなっていることだ。ここ数年のiPhoneはあまり大きな変化がなかった。少なくとも、急いでApple Storeに向かい、1年か2年おきに新モデルを買いたいと思わせるというほどの変化はなくなっている。Appleの現行のフラッグシップ機であるiPhone 6sと「iPhone 6s Plus」でも、多くのiPhoneユーザーが買い換えたいと思うような新機能は追加されなかった。
また、Appleにとって特に重要な市場である中国では、経済の低迷が続いている。中国も対処が難しい市場になる可能性がある。その証拠に、Appleの「iTunes Movies」と「iBooks」が、同国でのサービス開始からわずか7カ月で停止に追い込まれた。
Apple初のスマートウォッチとして1年前に発売された「Apple Watch」は、同社全体の売上高を押し上げるほどの売れ行きではない。iPad事業は、過去2年間は四半期ごとに落ち込んでおり、2015年後半に12.9インチの「iPad Pro」を投入しても流れは変わらなかった。
興奮度を高めようとするAppleは3月に、小型化したiPad Proをラインアップに追加したほか、新しい4インチモデルとして「iPhone SE」を発表して、小さめのデバイスを好むユーザー層にアピールした。iPhone SEは、399ドルと価格設定も魅力的で、歴代の新型iPhoneのなかでは最も低価格となっている(iPhone 6sは649ドルから)。
Pacific CrestのApple担当アナリストであるAndy Hargreaves氏によると、小さめの画面サイズを求めて旧型のiPhoneを購入する動きに、iPhone SEが歯止めをかけるはずだという。
だが、たとえiPhone SEの人気が上がったとしても、Appleの未来(と財務実績)にとっては、やはりフラッグシップ機ほどの影響力はない。アナリストたちは、Appleの2016年には見切りをつけ、2017年に目を向けている。「iPhone 7」という製品名で9月に登場すると予測されている次期iPhoneが、Appleに必要なカンフル剤になると期待されている。
UBSのアナリストSteven Milunovich氏は、2017年のiPhoneの出荷台数は5~10%上昇すると予測する。「iPhone 7は、目玉になるような新機能がないとしても、まだ大型画面モデルに移行していない2億以上のiPhoneユーザーのアップグレード需要を促すことになる。今のiPhoneは最盛期ではない」(Milunovich氏)
だが、それは2017年の話だ。Appleは当面、ユーザーがそれほどiPhoneに夢中ではなくなっているという事実に向き合わなければならない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力