デジタルコンテンツサイト「gettyimages.co.jp」を運営するゲッティイメージズジャパンでは、広告やビジュアルの最新トレンドを「Creative in Focus 2016」(Creative in Focus)として刊行。営業ツールとして世界40カ国で配布している。Creative in Focusの中から見えてくる今求められているビジュアルとは何か? 最新トレンドとはどんなものか? をゲッティイメージズシニアアートディレクターの小林正明氏に聞いた。
Creative in Focusは、2014年に発行され、今回が3冊目。デジタルコンテンツカンパニーとして、世界180カ国以上に広告用のイメージフォトから、 ニュース、報道写真、動画コンテンツ、音楽コンテンツまでを提供するゲッティイメージズが持つ膨大なビッグデータをもとに、グローバルチームが編集したという。
小林氏は、消費者が求められるビジュアルは時代の背景と強くシンクロする。例えば「311」の後は、子どもの画像検索が前年に比べ圧倒的に増えた。「子どもは希望や未来、これからを勇気づけるメタファーだった。そうした社会背景によって求められる画像は大きく変わる」と話す。
ゲッティ イメージズでは2016年のビジュアルトレンドを「Outsider In(アウトサイダー・イン)」「Extended Human(エクステンデット・ヒューマン)」「Divine Living(ディバイン・リビング)」「Messthetics」(メステティックス)」「Silence vs. Noise(サイレンス vs ノイズ)」「Surreality(シュールリアリティ)」の6つキーワードにまとめる。いずれもゲッティ イメージズが独自に作った言葉だ。
Outsider Inは、「端的に言えば、非主流が主流になる時代という意味。米国では大統領選を控え、連日ドナルド・トランプ氏が報道されている。今までとは異なる価値観が求められている時代」と小林氏は解説する。
Extended Humanについては「テクノロジによる人間の知能、身体能力、感覚の拡張について。ヴァーチャルリアリティ(VR)が盛り上がり、新たな視覚体験が出てきている時代。一方でスマートフォンも加速度的に普及している。そうしたテクノロジの進化と人間の組み合わせが当たり前になってきている」。
Divine Livingについては「大量消費、大量生産の時代から脱却しつつあるという提言。単なる買い物ではなくて、その消費活動がどういう未来につながっていくのかを考える時代に突入しているのではないか」とする。
「現在ゲッティイメージズが注視しているのがこれらの社会現象。あくまで広告主、オーディエンス、クリエイターの皆さんに議論を始める『きっかけ』を提案できればうれしい」と話す。
続けて小林氏は4つ目のキーワードのMesstheticsを「散らかった美意識」と訳す。「パーティが終わり、散らかった床、テーブルなど、汚れたもの、散らかったものの中に潜む美の不思議さ」という。
Silence vs. Noiseに関しては「静けさと喧騒。海の風景や1輪の花といった、写っている要素は少ないが、少ないがゆえに伝わるものは大きいミニマリスティックな表現」と説明する。
Surrealityは、「超現実に誘うビジュアル。作りこんだもの、実験的な試み、見た時に"この写真は見逃せない”と感じさせる強さがある」とした。
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