これらのキーワードは、ゲッティイメージズでアクセスログなどを解析するクリエイティブリサーチ、数多くのビジュアルと日々接しているアートディレクターらの目線、さらに実際の広告ビジュアルのサンプリングから導き出される。
クリエイティブリサーチでは、カスタマーが実際に検索する単語をいわゆるビッグデータとして解析。加えて、その年にどんな写真が販売されたのかを分析している。
なかでも検索ワードは、時代の特長を如実にあらわしているとのこと。「2015年の検索ワードで特に多かったのは『wearable technology』。これは2014年に比べ桁違いの伸びを示した。しかし今は、単なるモノだけがビジュアルとして求められているのではなく、それを 使う人のライフスタイルが大切。店先で品質管理にタブレットを使用する男性、子どもをあやしながらスマートフォンに触れている女性など、より具体的なシーンのビジュアルが求められているのでは」と小林氏は分析する。
また、高潔、誠実などの意味を持つ「integrity」も多く検索されたワードの1つ。小林氏はこの背景を「今まで、製品サービスを販売することに集中していた企業が、より大きな社会的責任を感じている時代」と説明する。最先端の機器や流行のファッションなど、モノの多さで豊かさを表現していたビジュアルではなく、自然の中に身を置いたり、命に限りがある花を愛したり、そういったひとときを過ごせることが豊かさだと気づかせるようなビジュアルを選ぶことが重要だという。
このほか「simplicity」「complex to simple」など、簡単、質素なども数多く検索されたワード。これは「これだけ便利な社会になった今こそ、心豊かな暮らし、シンプルなライフスタイルが求められてきている」とのこと。また散らかった床を表す「messy floor」、ざらざらした質感という意味の「grit texture」といった検索ワードに対しては「なぜか醜いものに惹かれてしまう不思議さがある。そうした"異質なもの”"居心地の悪そうなもの”、一見すると嫌な印象を受けるかもしれないものが、妙に気になったり、心に止まったりする力を持つ」とした。
「スマートフォンの普及は、視覚のコミュニケーションに大きな変化をもたらした。Instagramの登場によって人々のビジュアルリテラシーは格段に洗練されている」、と小林氏は言う。
今後求められるビジュアルについてたずねると「企業のPRに求められるビジュアルは、嘘がないこと、信頼がおけることだと思う。ビジュアルはその部分を訴求するためのツール。企業ごとにその答えは異なり、正解はない」という。そうした上で「見た人が何かを考える余地のあるビジュアルであることが大切なのではないか」と続けた。
「星の数ほどあるゲッティのビジュアルコレクションの中から、探しているビジュアルを見つけ出すためには複数の単語を組み合わせて検索するのがおすすめ。例えば"家族”に"アクティブ”と加えると、アウトドアを好む活動的な家族の写真が表示され、また"本”と加えると、家の中での生活を楽しむ家族が出てくる。そうしたキーワードの組み合わせにより欲しいビジュアルにたどり着きやすくなる。次から次へと画像を見ていく中で、ゲッティからの提案が表示される作りにもなっているので、写真を次々とめくっていってほしい」とした。
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