デジタル広告の指標は「リーチ」に原点回帰すべき--アドテック東京 - (page 2)

マルチスクリーン、クロスデバイスを考慮したマーケティングを

 近年は複数のインターネット接続可能なデバイスを所有する、マルチスクリーンのユーザーも増えてきており、単純にCTR、クリックをベースにした指標、インプレッション、動画再生数を成果としてはならないと宮本氏は語る。

 例えば3種類のデバイスをまたいで1つのコンテンツを見た場合、3ユーザーとカウントしてしまうことがある。「3つのデバイスで見ても1人が3回見た、という風に認識してプランニングしていくことや、露出先のメディアの選定においてもリーチ、ユニークユーザーをベースに考えていくことが重要」だとし、ニールセンがそれらの解析が可能なソリューションを、2016年春にリリースすることも明らかにした。


1人のユーザーが複数端末を使った場合、リーチ数を正しくカウントしにくいという問題がある

 こうしたツールの普及により、「届けたい人にちゃんと届いたことが可視化されると、どのような世界が開けてくるのか」(大志摩氏)。

 高田氏は「(独特な日本の)デジタルにおけるマーケティングが、初めて(本当の)マーケティングっぽくなってくるんじゃないか」と期待を膨らませ、リーチの結果に応じたクリエイティブの検討が可能になることで「もっとクリエイティブに回帰するのでは」と予測する。さまざまなデバイスから、さまざまな趣味嗜好のユーザーがリーチしてくることを考えれば、検討が必要なクリエイティブは一層複雑化するからだ。


ニールセンはマルチスクリーンユーザーを含むリーチ解析が可能なソリューションをリリースする

 それに対して小出氏は、マルチスクリーン、クロスデバイスの広がりにより「予算の持ち方について、テレビとデジタルを分けるという概念が取り払われるんじゃないか」と応じた。テレビCMとウェブ動画で予算を別個で管理することをせず、両方を「動画として広告費用いくら」という形で一括して予算を組むことになれば、「指標がそろって分かりやすくなる」とも述べた。

 宮本氏は、あらためて米国での動きを紹介。トップ25の広告主のうち24社がリーチを可視化するツールを用いた結果、「(広告)枠の単価が上がった」という。広告出稿が効率的に行えるようになり、予算配分を高く設定でき、ROI(投資対効果)も高くなっているとのことだ。

 高田氏は「日本はテレビがすごく強い国で、(過去は)インターネットメディアに選択肢がそんなになかったから、リーチを明らかにする必要がなかったのでは」と分析しつつ、「本当のマーケティングは、リーチを元に広告をするものだという原点回帰があらためて必要」と強調した。

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