デジタルマーケティングのカンファレンスである「アドテック東京」が9月16~18日の3日間にわたり開催された。9月17日のキーノートでは、世界的なデジタル広告会社AKQAの創業者であるアジャズ・アーメッド氏によって「不朽のリーダーシップ6つの本質」と題する講演が行われた。
アーメッド氏は、1958年には米国の主要500社の継続年数は平均して61年だったが、現在は18年まで短くなっていると語る。スタートアップにいたっては55%が3年以内に消滅し、71%が10年後には残っていないという。この一方で、フォード・モーターやソニーなど長年にわたり第一線で活躍する企業もあるが、この違いは何か。同氏がその要素として挙げたのが以下の6つだ。
(1)Democratise
すべての企業が例外なく民主化に力を入れてきた、エリートのための会社ではなく、あらゆる人ために努力した企業だ。
(2)Simplify
大きいからといって必ずしも小さなものに勝てるわけではないが、早ければ早いほど遅いものには勝てる。そして、シンプルであることは複雑なものと比べていつでも魅力的である。
(3)Author
自分たちのストーリーを心から信じており、ブランドのオーサー(作り手)として存在している。そのストーリーから外れるものは決して選ばない。
(4)Revolutionise
業界の中でこれまでなかったことに果敢に挑戦している。たとえば、アップルは小売の方法を、レッドブルはマーケティングの手法をガラリと変えた。
(5)Organise
大企業には大きく素晴らしい運用システムがあるが退屈だ。一方で、小さな企業には信じられないほどのクリエイティビティがあるが拡張性が欠けている。永続する最高の組織は、クリエイティビティを持ちながらも、大きな運用システムに対して生産性や効率性を求め続けている。
(6)Values
6つの要素の中で最も重要なものがバリュー(価値)だ。組織を取り巻く環境は刻々と変わるが組織が体現する価値そのものは決して変わらない。
アーメッド氏は永続する企業は、顧客に「語る」ことと、「対話」することの違いを理解していると語る。その事例として挙げたのがナイキだ。同社は8月にAKQAとともに、中国の上海に全面LEDのバスケットコートを設置。選手の動きに合わせて表示を切り替えたり、トレーニングメニューを表示したりして話題となった。また、世界自然保護基金(WWF)は、絶滅危惧種の動物に対する知識や理解を深めるためのiPadアプリ「WWF together」を、AKQAの協力のもとに制作した。
これらの企業にもう一つ共通しているのが、イノベーション(革新)とインベストメント(投資)を同じ土俵で見ていないことだとアーメッド氏は語る。彼らにとって重要なことは、イノベーションは“未知の結果”であると考えていることだ。そうした視点を持ってどこへ投資するのかを決めていることが長寿の秘訣だとした。
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