マイクロアド、海外事業の黒字化達成--渡辺社長が明かす好調な要因

 アドテクノロジ大手マイクロアドの海外事業が黒字化した。同社代表取締役社長の渡辺健太郎氏がブログで明かした。同社が初めて海外に進出したのは2008年の中国。以降、東南アジアを主戦場に海外展開を加速し、2015年8月時点で10カ国の拠点、250人の従業員を抱えるまでに拡大した。

 主力事業は、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)の「MicroAd BLADE」と広告代理事業だ。好調な要因について、渡辺氏と海外事業のキーマンで同社の執行役員に2015年に抜擢された2人に話を聞いた。

組織改革で巨大市場インドネシアの事業が開花


マイクロアド代表取締役社長の渡辺健太郎氏

――海外事業の黒字化までにどれほどの時間を要すると考えていましたか。

渡辺氏:明確な計画は設けずに進めてきましたが、2016年には黒字化すると考えていました。1年前倒しして達成できたことになります。

――前倒ししての達成の要因をどのように分析していますか。

渡辺氏:一番の要因は、インドネシアのDSP事業が直近の半年でかなり伸びたこと。そして中国事業の好調です。

 インドネシアは東南アジアの最初の拠点として2011年に進出しました。当時からマーケットのポテンシャルの大きさを感じていましたが、それが2015年に数字に現れた。人口が多く市場が大きいですから、サービス(DSP)がある一定受け入れられると、そこからは成熟した国とは違う伸びを見せます。

――そのインドネシアのDSP事業を率いる十河さん。先日は「World Brand Congress 2015」で、アジアのデジタルマーケティング業界で影響力のある人に贈られる「Asia’s Most Influential Digital Marketing Professional」を受賞しました。インドネシアにおける好調の要因をどのように分析していますか。

十河氏:市場のポテンシャルの大きさはもちろん一因です。そのような市況で、大手自動車メーカーや大手Eコマース、大手の外資系金融企業などの大型案件を受注できたことは大きかったでしょう。

 しかし、それ以上に経営戦略の変革が奏功したと考えています。組織、オペレーションをすべて変えたことで芽が開き、勝ちパターンのようなものが分かってきました。私は2015年1月からインドネシアの代表をしていますが、それまでは会社のカルチャーが確立されていませんでした。

――どのように変えていったのでしょう。

十河氏:まず、組織について。インドネシアの従業員は平均年齢が27~28歳と非常に若い。彼ら1人ひとりが、給与を上げたい、ポジションを与えられるようになりたいなど成長意欲を持てるようにしました。そして、彼らの成長が会社の成長につながるよう、人事や評価制度を変え、社員旅行を賭けた報酬キャンペーンも実施しました。

 つまり、従業員が勝手に自分たちをモチベートしていけるような環境を作りました。彼らが頑張った甲斐もあり、10月の社員旅行は行き先の候補としては最高の日本に全員で行くことになりそうです。

 オペレーションについて。彼らの目標達成のために、広告主企業への営業のロールプレイングを毎日のように1人ひとりするなどマイクロマネジメントをしました。こうしたやり方は、私が過去にベトナムなどの拠点で実施して成功したものを横展開しています。


人事や評価制度を変え、従業員が自然に自らをモチベートしていけるような環境を作った

――今後のインドネシアでの展開は。

十河氏:現時点で単月での売上が6000万円。おそらくインドネシアのデジタルマーケティング会社でこの売上規模は当社くらいではないでしょうか。次の目標は、1年以内に2倍の単月売上1億2000万円にまで引き上げることです。

 いくつか大型案件を受注したとはいえ、まだすべてを取りきったわけではありません。「もっと上に行ける」という会社の雰囲気を作ることができています。インベントリー(広告枠の在庫)の開拓など、次のステージに向かうための仕込みも着々と進めています。

――十河さんが担当している東南アジアの他の拠点のハイライトを教えて下さい。

十河氏:タイの拠点での営業活動は4月に開始しましたが、早くもこの8月で単月黒字化を達成する可能性があります。営業開始から黒字化までの期間としては全拠点の中で最短です。タイも市場のポテンシャルが大きく、インドネシア、ベトナムに並ぶ、当社にとって東南アジア拠点の3トップの1つとなるでしょう。

 ベトナムでの事業は安定して伸びていて、年間の売上が昨対比で200%。2014年は通期で黒字でしたが、2015年は単月でみても常に黒字を維持しています。フィリピンも順調に伸びており、直近は黒字を維持しております。今後も成長が期待できるマーケットだと考えています。

――今後の伸びが最も期待できる国はどこでしょう。

十河氏:インドネシアでしょう。企業の広告予算がデジタルマーケティングにどんどん流れ込んできています。向こう10年は伸び続けるといっても過言ではありません。

――東南アジア市場での展望は。

十河氏:東南アジアのデジタルマーケティング会社で圧倒的ナンバーワンになりたい。東南アジアのどの国に行っても、「デジタルマーケティングといえばマイクロアド」と言われるように。それぞれの国にデジタルマーケティングに強いローカルの企業はありますが、全域に強いところはまだいません。そのポジションにいま最も近いのが当社だと思っています。

 東南アジアを面で押さえることができれば、営業もプル型で問い合わせがくるようになるでしょう。また、事業領域を拡大していくことも考えられます。これまではバイサイド(広告主サイド)の事業が主力でしたが、セルサイド(媒体社サイド)を押さえ、独占的なアドネットワークを構築することもありえます。個人的には中東地域、バングラデシュなど東南アジアのさらに新興国への進出にも興味があります。

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