泊氏:サービスイン直後は多かった。それは、クライアント側に我々が求めるようなコンテンツがもともとなかったり、既存のランディングページを持ち込むことが多かったりしたため。今はコンテンツマーケティングが少しずつ浸透してきて、我々のガイドラインに沿ったコンテンツが増えてきている。
嶋瀬氏:ガイドラインというと、企業側の広告を制限するものと捉えられがちだが、実際はよりクライアント側が得たい効果を最大化する上でこれに従ってほしい、という側面がある。
我々はユーザーに対してさまざまなキャンペーンを回しているが、必ずしも、直接的な商品訴求が強いようなコンテンツよりも、よりユーザー目線で、ユーザーが求める情報、有益性を強く推しているもののほうが最終的なKPIにつながる傾向が強い。
調査会社のニールセンが2013年に発表した調査では、「どの形の広告を信頼するか」を聞いた項目で、1位「知人からのレコメンド」、2位「企業ブランドのウェブサイト」、3位「口コミサイト」との結果が出ている。
その結果でも示されているように、企業がユーザーの興味や関心を捉えてコンテンツを作りさえすれば、それが企業が発信している自社の商品の話だったとしても、ユーザーはそれを有益な情報として受け取るだろう。
実際に当社のクライアント事例をみても、たとえば他社のことをすごく褒めている記事が、最終的にそのクライアントのKPIにつながったことがある。自社について語っている記事よりも、そのほうが効果があった。それはまさに、ユーザーが本当に求めている情報を与える中で、得たいKPIを獲得した例といえる。
最初は「もっと大々的に商品訴求をしたい」とか、「社名をわからないにしたい」といったものがあった。しかし、次第にこういった手法で成果が出ることをお見せできるようになると、ご理解いただけるようになってきた。そこはこの1年で変わってきたと実感している。
――今後、日本でネイティブ広告はうまくいきそうか。
嶋瀬氏:我々の実感として、市場自体はこの1年でかなり大きくなっている。それは今後、加速度的に拡大していくと思う。
懸念点として、ネイティブ広告はコンテンツがあってこそのマーケティング活動であるため、コンテンツ制作側の体制がしっかり組めていないと、それがボトルネックとなって市場が伸びなくなる可能性がある。
一方で、我々に加盟いただいているメディアの多くも、企業のコンテンツ制作を担う体制を組むところが増えてきている。それは、まさにガーディアンがやっているような形。そういった形態が日本でも今後増えてくるだろう。
また海外では、企業がコンテンツマーケティングのチームを内製できない場合に、その一部を外部メディアに委託していることがある。外部メディアと企業の営業や広報が定期的にミーティングをして、企業として発信するメッセージの方向性を共有し、外部メディアが制作をするというもの。メディア内に企業のマーケティングチームがいるといったような形も、日本で今後広がるのではないかと思う。
今後、コンテンツ制作側と、我々のようなネットワークの両方が同時に育っていく必要があると感じている。
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