「ネイティブ広告」定義の真意--JIAAが語るこれからのメディアの在り方

井指啓吾 (編集部)2015年04月08日 14時00分

 「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告」。

 2014年に各社が相次いで参入したものの概念や定義が曖昧なままバズワードのようになっていた「ネイティブアド(ネイティブ広告)」を、一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)のネイティブアド研究会が3月18日、このように定義し、それを扱う上での推奨規定を公開した。

 ネイティブアドは、その形式や機能が、媒体社やプラットフォーマーが提供する記事やコンテンツと一体感があるという特徴から、ユーザー(消費者)に受け入れられやすい広告体験を提供するものと期待されている。しかし一方で、掲載方法や内容によっては消費者が騙されたと感じやすいという課題もある。

 そこでJIAAは今回、媒体社とプラットフォーマー、ネットワーク配信事業社それぞれに対し、消費者保護の観点から、広告表記や広告主体者の明示、広告審査の有無や方法を規定。会員社を中心として業界全体に広く浸透させ、順守されるよう努めている。

 ネイティブアド研究会は2014年8月、インターネット広告市場におけるネイティブアドの正しい理解促進と市場の健全な育成を目的として活動を開始した。具体的な取り組みは大きく次の4つで、170社を超えるJIAAの会員社とともに推し進めている。

  • ネイティブアドの定義とガイドラインの策定
    米国ニューヨークに本拠地を置くインタラクティブ広告業界団体IAB(インタラクティブ アドバタイジング ビューロー)のプレイブックを参照しながらも、日本独自の市場背景や観点を加味したものにしていく。
  • 業界にとっての新たなチャレンジ領域の整備
    アドテクノロジー軸とクリエイティブ軸の両輪で考える。
  • メディアのブランド価値、信頼性を確保
    あくまでも、ユーザーオリエンテッド(利用者指向)の発想で考える。
  • 多様なプレイヤーをつなぐ機会を創出
    メディア、広告会社、広告主それぞれの立場で参加でき、意見交換できる場となる。

 JIAAでは「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドライン」を策定し、業界の動きにあわせて改訂を加えている。今回のネイティブアドに関する規定もそうだ。ガイドラインは各社の自主規制を前提としており、強制力はないが、業界の指針を示すものだ。

 議論に加わっている会員各社は規定に当然従うとしても、その先、非会員社にまで浸透するのか。モラルのない企業や自覚のない行為をどのように是正するのか。新規定はネイティブアドの未来にどれほどの影響を与えるのか。

 ネイティブアドの現状をJIAA常務理事の長澤秀行氏、講談社ライツ・メディアビジネス局次長でネイティブアド研究会の座長を務める長崎亘宏氏に聞いた。

――ネイティブアドを定義して推奨規定を公開した。今後どのように業界全体に働きかけていくのか。

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