新型の「iPhone」や「iPad」は披露されないだろう。もちろん、「Apple Car」の発表もない。
しかし、Appleが米国時間6月8日に開催する開発者会議では、ソフトウェアが発表されるはずだ。それも、かなりの数になるだろう。
Appleは6月8日~12日、サンフランシスコでWorldwide Developers Conference(WWDC)を開催する。5000以上のアプリメーカーが、8日に行われる2時間の基調講演や、WWDC期間中に開かれる100以上の技術セッションに出席し、Appleの各種デバイスに搭載されるソフトウェアについて情報を収集する予定だ。同社は通常、WWDCの基調講演を利用して、さまざまな機能や「iOS」と「Mac OS X」の新バージョンを発表する(iOSはモバイルデバイス向けOS、Mac OS Xはコンピュータ向けOS)。
今回の発表内容には、iPhoneとiPad向けの新しいiOS(名称は「iOS 9」の可能性が高い)、そしてMac向けの「OS X 10.11」が含まれるとみられる。Appleが2014年に買収した「Beats」ストリーミング音楽サービスも、刷新されて正式に発表される見込みだ。Appleのホームオートメーションソフトウェア「HomeKit」や、モバイル決済サービス「Apple Pay」についても、詳細が発表されるかもしれない。WWDCに登場しないと思われるのが「Apple TV」だ。同社はWWDCで新しいテレビボックスとオンライン動画サービスを発表すると予想されていたが、その発表は延期されたという。
Appleはおそらくハードウェア(iPhoneやiPadなど洗練されたデザインの製品)で最もよく知られているはずだが、そうした端末上での体験も同じくらい重要だ。AppleはWWDCでOSの新バージョンを発表し、強烈な印象を残すことが不可欠となる。自社製品のあらゆる側面を管理するAppleの能力は(Steve Jobs氏とSteve Wozniak氏が1976年にAppleを創設したときから続いている)、同社が巨大なテクノロジ企業に成長する上で欠かせない要素だった。
「Appleが提供するのは予測可能なパッケージだ。これらのデバイスが効果的に連携し、時間が経つにつれて改善されていくことを、誰もが分かっている」。Jackdaw ResearchのチーフアナリストであるJan Dawson氏はこのように述べた。
Appleにとって、自社の最新のソフトウェアやデバイスによって開発者を刺激することは極めて重要だが、それは同社の持続的な成功が、iPhoneとiPad向けの新しいアプリの開発にかかっているからだ。「Apple Watch」にも同じことが言える。人々は単なる腕時計に349ドル~1万7000ドルを払っているわけではない。求められているのは、手首からUberの車両を呼び出す機能、スマートウォッチをドアの近くにかざしてホテルの部屋の鍵を開ける機能、Whole Foodsで食料品の支払いができる機能などを備えた端末だ。
これまで、多くの開発者はGoogleの「Android」OSよりAppleのiOSを好んでおり、先にiPhone、iPad、Apple Watch向けのアプリを開発してから、Android端末向けに同様のソフトウェアを作成するという手法をとってきた。今まではiOSアプリから得られる利益の方が大きかったからだ。さらに、多種多様なAndroidスマートフォン、タブレット、スマートウォッチを対象にするより、Appleの数種類の端末を対象にする方が、アプリを簡単に開発できることが多い。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」