“EdTech”は企業内教育を劇的に変える - (page 2)

篠崎功(D2Cソリューションズ)2015年06月16日 08時00分

スマートフォンで手軽に効果的に企業内教育ができる

 企業内プラットフォームを用意し、コンテンツはオリジナルなものに加え、さまざまなリソースから必要に応じて適切なものを引っ張ってくることができる。企業は、自社の社員に必要なものは何か、いま足りないものは何かを考え、その企業独自のコンテンツセットを作ることが可能だ。

 「会社全体、あるいはこの部署ではこうした能力が低いようだ」「この年次にはこうした能力が欠けているようだ」「今後は、この部署の人間には特に、この方向の情報を取り入れてもらいたい」「この方向の技術を学び直してもらいたい」。そうしたニーズによって、人事部などが音頭を取って最適なコンテンツを選び、必要なものは独自に開発して配信する。そして、実際の利用分だけ対価を支払う。そんな未来も開けるはずだ。

 先ほどの新聞やSmartNewsのようなスタイルで情報を更新するほか、これまでどおりのオンライン授業やテストなども用意できる。新聞感覚のほうは、皆にそれを読む習慣だけつけることができたら成功だろう。テーマ設定などを決めた後は、あるアルゴリズムで自動的に編集された情報が毎日、全社員に届く。もちろん、そのカテゴリによって情報のセットを変えることもできる。そんな企業内教育をこれから構築していきたい。

 個々人は何が出てくるのかを気にも留めずに、1日、5分から10分、スマートフォンなどで気軽に検索していく。それが知らず知らずのうちに学びにつながる。改まって学ぶのではなく、自然と学習意欲が刺激される。それがEdTechの優れた点だからだ。

動画学習は、集合教育の効果を最大化する

 もちろん、集合教育や実地研修を含むアクションラーニング、それこそOJTなどを否定するわけでも軽視するわけでもないが、それだけでは足りない。自分にあったスタイルで予習、復習をする。動画と連動することで、反復して確認できる。そうしたEdTechは、集合教育の効果を最大化することができるのだ。

 たとえば、米国のアメリカンフットボールチームでは、難解なフォーメーションなどの動画を配信し、選手に予習と復習を求めている。その結果、練習は短時間で絶大な効果を望める。

 あるいは世界的な美容室チェーンであるトニーアンドガイの日本法人であるトニーアンドガイジャパンでは、弊社の提供する「ALF Learning」を使って、独自に開発したデザインごとのスタイリングやカラーリングの手順をアカデミーで配信し、美容師がそれぞれ好きな時間に個々人で勉強し、アカデミーでの集合練習に臨むというスタイルが築かれていて、効果を上げている。

 何が言いたいかと言うと、集合研修やOJTを主体とするのであっても、EdTechの必要性は減ずることはないということだ。楽天は、米国のシステムをいち早く導入して、それをカスタマイズ。楽天大学に採用して独自の情報教育システムを構築している。そのシステムによって、本部から社員などに提供するコンテンツだけでなく、各店舗同士で各々の成功事例を共有するという文化も始まった。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]