“EdTech”は企業内教育を劇的に変える - (page 3)

篠崎功(D2Cソリューションズ)2015年06月16日 08時00分

基礎力が備わったら、自分のキャリアを描くために活用する

 企業内教育では、企業側が階層や部署によって求める基本的なスキルや知識を補うだけでなく、人それぞれが成長していくためのコンテンツも必要だ。自分はどこが弱く、あるいはどこを強化することで、どのようなキャリアを描きたいのか、描くべきなのかというナレッジマップを構築し、まずは自分自身で成長スキルの課題を把握する。そこから自分に必要なコンテンツを選んで、自分の好きなペースで学んでいく。

 そうしたトレース情報を人事部や人材開発部、または上司なども把握し、定期的に面談をして、ナレッジマップを修正するようにすれば、より間違いがないだろう。さらに言えば、上司もまた、新しい技術革新などについていくために、こっそり学び直しができるのもEdTechのいいところだ。日本人には通勤時間が長い人も多い。しかし、モノは考えようで、この通勤時間はナレッジという意味では貴重な可処分時間なので、スマートフォンなどのデバイスの活用によって、効果的な学習できるはずだ。

 検索機能にしても、基礎的なスキルを身につけた後は、必要な分野の最新事情を日々取り入れる、まさに自分新聞として活用できる。その際には、たとえば定期的なアンケート調査によって、情報のウェイト付けを微妙に変えていくといった丁寧なフォローをすることも可能だろう。

 ちなみに、コンテンツを特徴づけるのはやはり動画である。今、YouTubeなどにオープンな動画コンテンツがたくさん蓄えられている。今後は、企業などの組織内にも、各種の動画コンテンツが蓄えられ、活用されていくようになるだろう。動画には、実写だけでなくアニメーションなどの手法も含まれる。学ぶべき内容によって、どのような表現方法が適切なのかを考えていけばいい。

コーポレートMOOCを導入すべきこれだけの理由

 コーポレートMOOCには、導入すべきいくつもの理由がある。以下にまとめてみた。

  • 社内トレーニングに適している。MOOCは拡張性のある開発言語で作られており、同僚評価やオンライン評価など、企業ごとに必要とされる機能を比較的簡単に開発できる。
  • 顧客が商品について学ぶなど、パートナーが生産性を上げるためのスキル開発などにも活用できる。
  • MOOCと既存の研修やアクションラーニングを組み合わせて効果を上げることができる。
  • MOOCの仕組みを使って、優秀な人材を発掘できる。
  • 動画コンテンツで自習し、集合教育で実習するなどの反復学習が容易にできる。
  • ラーニング管理システムとの統合が比較的容易にできる

EdTech Smart Labでさらなる活性化を

 D2Cソリューションズでは、EdTech市場を活性化させるための組織「EdTech Smart Lab」を開設した。啓蒙・情報発信、EdTechに関わる人たちのネットワークづくり、企業内教育需要の掘り起しと才能発掘支援、人材(スキル)の適切な評価支援、そして日本での実績を今後海外へ発信していくことなどを主な活動としている。まずは企業をメンバーとする勉強会やセミナーを運営する。さらにはイベントやアワードも開催していく予定だ。

 中でも才能発掘の支援や、人材の適切な評価支援は大切だ。才能発掘は、ロールモデルづくりのためのスタープロジェクトだ。たとえば、ある企業では動画配信サービスを使って、接客の優れた店員の動画をイントラネットにアップロードし、それを各テナントで共有できるようにしている。

 こうした試みは一般化するといいだろう。優れた接客はどのテナントでも応用ができるものだ。さらに、共有するだけでなく、表彰制度も導入している。表彰されれば本人のモチベーションアップにつながることはもちろん、スターが生まれれば他の店員も刺激される。そんなふうに、頑張る人を応援する。さらにモチベートする。そして、身近にスターを生み出すことで、皆に夢とやる気を与えることが重要だ。

(D2Cソリューションズ 代表取締役社長 篠崎功)

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