これまで「LINE@」は実店舗などを持つ法人にのみ提供されていた。ところが、2月12日に一般ユーザーにも広く開放されて話題となっている。ビジネスに使いたい多くのユーザーが興味を持つところだろう。
そこで、LINE@の販売・運営サポートを行っているLINE Business Partners代表取締役社長の長福久弘氏と、同広告部 グロースマーケティングチーム マネージャーの幕田博之氏に、LINE@の使い方や活用のポイント、今後について話を聞いた。自らのビジネスに活用するヒントとしてほしい。
LINE@を店舗ビジネス以外でも使わせてほしい――。そういう声は当初から寄せられていたという。まずは実店舗でのLINE@利用を増やすことを目標としていたが、オープン化前にLINE@は有料無料を合わせて約14万件利用されていた。「普及という目標が果たせたため、次の段階としてオープン化した」(長福氏)というわけだ。
LINEとLINE@の違いをご存じだろうか。LINEは、電話番号を知っている人や直接会った人とつながるためのクローズドなプライベート用サービス。一方のLINE@は、情報発信やビジネスというパブリック利用を想定したサービスとなる。「プライベートはLINEで、パブリックはLINE@で」という使い分けが想定されているのだ。
アカウントの開設・利用はLINE@のアプリ(iPhone/Android対応)から可能だ。友だちになった相手にメッセージの一斉送信ができるほか、問い合わせには1対1トークでの対応も可能。気軽な発信にはタイムラインが利用できる。
LINE@は元々プッシュ性の強さが特徴であり、O2Oがキーワードとなっている。一般公開に合わせて無料でも使える領域を広げ、メッセージも1000通までは無料で送れるようになった。1000通という数字はメッセージの累計数であり、友だち数が100人なら一斉メッセージを10回送れるという計算になる。
LINE@では、LINEアプリで利用している登録情報も用いてアカウントを開設することができる。1つのアカウントにつき、一般アカウントでは最大で4つのLINE@アカウントを持つことができる。実店舗やEC店舗を持つ法人とメディアなど一部の業種・業態は、認証を受けると認証済みアカウントとなり、最大100個まで持つことが可能だ。LINE@の管理はアプリとPCの両方からできる。「店舗からの更新はアプリ、本社で運用する場合はPCでといった使い方ができる」(長福氏)ようになっている。
LINE@のオープン化について、長福氏は「固定電話から携帯電話に変わったようなもの」とたとえる。携帯電話が普及する前は、個人が電話番号を持つこと自体イメージがなかったが、今では当たり前に携帯電話番号を持っている。LINE@をそういう存在にしたいという。
「LINE@はスモールビジネスに向いている」と長福氏は話す。個人でもビジネスに近い人、たとえば美容師や営業マン、YouTuberなどに向いているという。最近は、LINEのQRコードを名刺に入れて、仕事での顧客とのコミュニケーションはLINEで行う人も増えてきた。LINE@が開放されたことにより、「顧客に個人のプライベートLINEを教えていた人も、仕事用にLINE@を作り、仕事上のコミュニケーションはLINE@という使い分けができる」(長福氏)という。
LINE@では最近、一斉メッセージはもちろん、さらにもう一歩進んだ1対1トークが活用されている。たとえば、ある高級車を扱う中古車販売会社は、ウェブサイトで「質問があったらLINE@へ」と掲載。電話するほどでもないこともLINEなら気軽に聞きやすいと、問い合わせが増えた。結果、LINE@のやりとりをきっかけとして高級車が数台売れたのだという。
「LINE@を使う上での一番大きな魅力はすでに多くの人がLINEを使っていること」と長福氏は力説する。LINEの国内のユーザー数は現在5800万人以上。ユーザーがアプリをダウンロードしていないとそもそも使われない可能性が高いが、LINE@なら5800万人以上のユーザーに向けてプロモーションできるというわけだ。
実店舗ビジネスは地代や人件費が固定でかかる仕組みであり、客が来なくても必ずコストがかかるため、マイナスをどれだけ縮小できるかが経営において重要となる。その点、LINE@ならプッシュ性が強いので、雨天などの客の出足が悪い時にメッセージを配信すると、必ず数人が来店してくれる。「FacebookやTwitterと同じように使っても、LINE@の方が圧倒的に反応率が高い」という。
Facebookではエンゲージメントを高めるために毎日投稿せよというのがセオリー。一方、LINE@は使いたい時にプッシュでメッセージを送り、それ以外はタイムラインか1対1トークとなるので、更新する側としても手間がかからない点も魅力だろう。
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