ASEAN市場のマーケティングポイント--2つのキーワード - (page 2)

呉恵文(D2C)2015年03月25日 09時00分

欧米や日本の真似をしたいという意欲は非常に高い

 それでも情報に対する若者の欲求、ステージアップの欲求が非常に強いのは確かだ。その欲求は情報の取得だけでなく、実際に海外で学ぶ、留学率の高さにも表れている。インドネシアやマレーシアにしても、中間層より上の層では、かなりの確率で子どもたちを留学させている。留学先として一番は米国だが、次いで香港、シンガポール、そして日本も留学生が多い。

 彼ら留学生が自国に帰ってくると、留学時の経験を基に、ムーブメントを起こす。今、ASEAN各国ではEコマースが普及し、流行しているが、これもそうやって巻き起こったムーブメントだといわれる。ホテルや航空券などの予約サイト、レストランのランキングサイトなど、自分たちで立ち上げ、起業するといったケースも目立つ。

 Eコマースで1つ留意すべきポイントを紹介すると、ASEAN各国では日本ほどにクレジットカードが普及していない。主流はプリペイドカード。これがそれぞれの国で発達している。

 インターネットの話ではないが、憧れの強さを表すのがモールだ。たとえばホーチミンやジャカルタには欧米や日本のブランドもの、最新のモデルに酷似した商品が並ぶ。しかしそれらはコピー商品ではない。たとえば原宿で流行っているファッションの写真を送って、現地でそれを真似して商品を作る。真似はしている、見習ってはいるが、コピー品やまがい物ではない。あくまでもノンブランド商品という位置づけだ。本物は買えないけど、流行を身にまといたいというニーズに応える文化なのだ。

日本の家電はおやじブランド、おしゃれなのは韓国製

 そんなASEAN市場での日本の一番のライバルは、国で言えば韓国だ。日本でも一時期、絶世を風靡した韓流ドラマが今ASEANでもてはやされている。欧米の生活以上に、そうしたドラマの中で展開されている生活スタイルやファッションに皆、憧れる。

 だから、そうした商品に対するニーズが高い。刷り込みだ。たとえそれが世界的には最先端のデザインではなくても、それは彼らにはわからないし、関係がない。しかも、韓国の企業はしたたかだから、そうしたドラマで扱われた商品などをしっかりと店頭に並べている。

 何と、家電商品などに対する彼らのイメージでは、日本製は安心で耐久性に優れているが、どちらかというと“おじさんブランド”。その点、韓国製はおしゃれでスマートなのだという。韓国企業は市場によって製品のデザインなども微調整するので、ますます人気が高まる。

 そうした点は、日本企業も見習う必要があるのではないだろうか。

(D2C 国際事業室 台湾統轄マネジャー兼台湾支店支店長 呉 恵文)

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