この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを週替わりでお届けします。今回は番外編の後編として、日系企業がフィリピンへ進出する上で役立つミクロ情報や、同国のインターネット状況についてお伝えします。
フィリピンにおける広告費の内訳は、多い順に、テレビ広告、OOH広告、ラジオ広告、新聞広告、インターネット広告となっています。
インターネットに限ると、Aegis Mediaの発表データ(PDF)では、2013年のフィリピンのインターネット広告市場は約1億2700万ドルとされています。
また、フィリピンのスマートフォン普及率は38.7%。フィリピンの総人口が約1億人であるため、約3800万人がスマートフォンを持っているという計算になります。街中を歩いてみても、特に若者へのスマートフォンの広がりを顕著に見受けることができました。
主に発展途上国において、多数を占める経済的貧困層をBOP(Bottom Of the Pyramid)と呼びます。国際金融公社(IFC)では、年間所得が3000ドル未満の人々をBOP階層と定めており、世界人口の約72%である約40億人もの人々がBOP層と言われています。
この市場を狙ってビジネスをする「BOPビジネス」は市場規模が約5兆ドルと言われており、経済産業省発表のデータ(PDF)によると、欧米企業が特に積極的に参入しています。それに伴い、USAID(米国国際開発庁)の国別のプロジェクト数では、フィリピンは10位にランクインしています。日本企業の参画はまだ少ないようです。
フィリピンで実際に私が目にしたのは、スマートフォンや携帯電話料金を払うのが金銭的に難しい人々に向けたBOPビジネスでした。具体的には、企業から広告費を獲得した上で、BPO層に向けてアンケート調査を実施し、そのアンケートに答えた人の通信料を割り引くといったサービスです。特にコモディティ商品のような、ターゲットユーザーが、消費額の大きい人だけではない商材のメーカーなどに、CSRの意味も含めて支持されているとのことでした。
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