今回訪問時に、フィリピンの現地企業複数社に対し、現地のインターネットマーケティング事情についてお話をうかがいました。ここではその中の2社の担当者の話を紹介します。
1社目は、現地の保険会社です。フィリピン人のマーケティング担当者に対し、自社で実施しているデジタルマーケティングについてインタビューをしました。
担当者によると、「当社では現状、インターネットマーケティングの予算は多く取っているというわけではありません。インターネット広告市場は、正直フィリピンではこれから……といったような肌感覚です。インターネットマーケティング予算は少ないながらも、PPC(検索連動型広告)やソーシャルマーケティングに、その多くを使っています」とのこと。
さらに、上述のように、スマートフォンの普及率がフィリピンにおいて拡大しており、現地の人々がインターネットに触れることが多くなってきているとのことでした。
また、フィリピンの人々はFacebookが大好きで、We Are Socialのデータによると、総人口の21%の人々が、Facebookのアクティブユーザーとなっています。これはフィリピンのSNSの中では最も多いため、今後はFacebookを使ったマーケティングも強化していきたいと語っていました。
2社目は、現地大手通信企業のセールスダイレクターの話。同社は、電話、モバイル、インターネットなどのITソリューション全般を網羅する、B2B領域ではトップの企業です。
担当者によれば、フィリピンのEC市場はこれからが狙い目だそう。「現在、当社の新規携帯電話契約者数のうち約90%がスマートフォンで、残りの約10%はフィーチャーフォン。携帯電話料金の支払い方法は、プリペイド決済(前払い)が約70%。銀行口座を持っている人が少ないので、コンビニでプリペイド支払いをしているユーザーが多いです。
携帯を使ったインターネットショッピングや決済はまだ広くは普及していませんが、クレジット決済は増加しているので、フィリピンのEC市場はこれから狙い目になるのではないでしょうか」(同氏)。
これを裏付けるように、2015年1月28日の日経新聞の記事は、フィリピンのクレジットカード保有率が5割を超えたと報じています。フィリピンにおけるEC市場の発展は、そう遠い未来ではないと考えられます。
ほかにも、さまざまな情報により、BPOなどにおける生産拠点としてだけではなく、市場としてのフィリピンの未来に大きな魅力があることが感じられました。今後、新興市場をターゲットとして狙っていきたい企業にとって、フィリピンは有力な候補の一つとなることは間違いないでしょう。
フィリピンでは、英語とフィリピン語が公用語とされていますが、フィリピン人同士の会話はほどんどがフィリピン語。しかし、英語もビジネスにおける公用語として不便がないように、フィリピン人は幼少のころから英語教育を受けています。そのため、多くの人が英語を流ちょうに喋ることができます。
ちなみに、文部省発表の「TOEFLスコアの国別ランキング」では、アジア30カ国中、フィリピンは3位。一方、日本はというと……27位という結果でした。グローバル化が進む現代社会。これから日本の英語教育にも期待したいところです。
2006年アウンコンサルティング入社。
検索エンジンマーケティング(SEM)における新規顧客開拓を担ったのち、SEMコンサルタントとして大手プロバイダや不動産などを中心に企業のマーケティング支援に従事。
その後、沖縄支店およびアウンタイラボラトリーズのヘッドマネージャーとして、現地法人運営と現地スタッフの育成、売上拡大における販売戦略の立案と実行を行う。
現在は海外拠点、アウングローバルマーケティング(シンガポール)とアウン香港マーケティングのマネージングダイレクターを兼任し、幅広い業種・業態のSEMを含む、グローバルマーケティング活動の支援を行う。
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